怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

お昼ご飯を食べて京都へ。バスが少し遅れてきたおかげですんなりと上賀茂菖蒲園町へ。少し歩いて瑞雲庵に到着。あたりは立派なお宅がちらほら見えるが、この瑞雲庵はそのなかでもひときわ立派。あとで聞くとお茶の先生のご自宅だったそうで、茶室のみならずそこここに炉が切ってあるのも当然か。ちなみにトイレだけは最新ハイテクでそれもまた一興。
「亡霊ー捉えられない何か Beyond the tangible」展はまずGABOMI.作品と谷澤紗和子+藤野可織作品から始まる。GABOMI.のノーレンズシリーズはたしか資生堂ギャラリーで見てその色彩感に見とれたものだけど、今回は日本家屋に点在しているので趣はだいぶ違う。それよりも池を映した作品を畳を剥いで床に展示したものが大ヒット。展示環境と作品を融合させてこそのキュレーション。
そして何よりも見事だったのが谷澤紗和子+藤野可織の「無名」。貝をねじ込んで焼成させた陶芸作品とテキスト(キュレーターによれば「短編小説」とのことだが、僕には散文詩と受け取れた)が立ちのぼるような妖気を発している。そしてこの作品も床に置き違い棚に置きで展示の見事さが際立っている。昨秋京都のギャラリーで展示されたのが初出とのことだが、話を聞くとそのときより展示環境は数段良いようだ。この作品をふたたび見ることができるとしても、この展示方法で見ることはもうないだろうから、しっかりと目に焼きつけた。
山崎阿弥の作品は庭にいる姿なき声がいい。聞こえるでも聞こえないでもなく、環境音と混じりながらどこまでが作品かわからない、しかしなぜか囚われて立ち尽くす、亡霊と対峙するような作品。
オル太に関しては一番興奮度は低いのだが、これはキュレーター吉岡恵美子氏も言うように世代差にもよるのだろう。
狭いだろうしおそらく30分もあれば十分と思いこんでいた予想を覆し、1時間かけてじっくり見たらちょうどキュレータートークが始まり、結局2時間を費やす羽目に。ベートルズのインストアライブはあきらめることになったがいたしかたない。キュレータートークではいろいろ話も聞けたのだが、オル太のお腹にQRコードを貼る作品を見ながら嘆息するように「いまの若い男の子のお腹って・・・」と言い出したのが面白かった。現代アートは若い男の子のすべすべのお腹には勝てない。
大満足で市街に戻る。北山の辺りは若干いけすかないところだけど、この瑞雲庵では年2回公募による展示が予定されているそうなので今後も注目だ。
京都芸術センターで伊藤隆介×中田有美「ジオラマとパノラマ ――Diverting Realities」。
まだ元気なので休憩なしでそのままArt Rock No.1へ。行くたびに雑然化の進む店内で、初めて行ったころはもっとオシャレな感じだったはずなんだけど。ゆらゆら帝国「ラメのパンタロン」500円、Prince「Art Official Age」700円。
100000tアローントコ。欲しそうな感じのものはあるがゲットはなし。ここ最近いつもそう。
いい時間になり、松屋でキャンペーン中の牛焼肉定食500円。いつも思うけど、肉をよくこんなに薄く切れるなと感心する。
時間調整してUrBANGUILDへ。しかし開場遅れでしばし外で待たされ、ゆーきゃんレコ発の悪夢がよみがえる。
最初は入江陽バンド。
続いて中川裕貴、バンド。どうやらこのイベントは中川さんの結婚パーティからの流れで行われたらしく、単なる一般客には若干居心地の悪さもある。
ただライブそのものは中川さんの真骨頂ともいえるもので、チェロやハープなどによるポストクラシカルな音像をベースにしながら、音を奏でないことも含めて問いかけてくる内容。非常に刺激的であり、この先鋭さはもっと評価されるべきだろう。今回のライブはおそらく9月ごろに発売されるアルバムの再現ともいえるものだったようだが、当然のことながら自宅のスピーカーで聞くよりはこうした場所で見るべきもの。来てよかった。
終演は予定の22:05とは思ってなかったがまさか50分も遅くなるとも思ってなかった。終電での帰宅は正直疲れた。