怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

まやかし白昼夢第9夜「夜を越えて」

朝から暑いなと思いつつ朝食を食べていたら妻に電話があり、実は出勤日だった模様。慌てて出かけて行った。
お昼はざるそば。出雲そばは具なんかなくてもおいしい。
夕方まで暇なので映画の日だから映画かな、しかし混んでそうだしなどと思ったりしていると、近くのお寺で納涼寄席をやっていることがわかった。正月にもやっていたけれども気付くのが遅くて行けなかったりしたやつで、今日は暇だし間に合うしで丁度いい。下駄をはいて出かけてみる。
寺の奥にある広間でやるらしく、普段は法要などやっているのだろう、立派な部屋に背の低い椅子が50ほど並んでいる。
無料だから混んでるだろうと思いきや全然で、皆さんそんなに落語に興味ないものなのか。初めて来た僕が言うのもなんですが。
まずは景気づけに古今亭菊春の獅子舞から。獅子舞は正月にやるものと思い込んでいたがそういうものではないんだろう。頭を噛むふりをしてもらった。小声でありがとうございますとささやかれたのがまたうれしい。
続いて早くも金原亭馬生。馬生一門の師匠なのだが、今日は真打に昇進したばかりの金原亭馬玉をトリということなのだろう。素人義太夫というお噺。
翁家和助の曲芸は少しミスはあったのと間に挟む喋りの語り口に今風の言い回しが入るのが違和感あったけれども、見事な曲芸を目の前で見せてもらい迫力を満喫。小さな会場ならではだった。よくあんなの出来るな。盛り上がった。
最後は金原亭馬玉の三方一両損。真打とはいえ若いから声の深みはまだまだで、これからということになるのだろう。
寄席で見るのとは少し違い、緊張感は薄くてリラックスした1時間半だからトチリもそれなりにあったけれども、まあそこは無料ですから。
最後は大喜利。お客さんからお題をもらってやる本物の大喜利は馬生師匠の圧勝で流石だった。
夕方焼き飯を作り食べ終わったところで妻帰宅。不機嫌で怒鳴り散らされたが放っておけば機嫌は直るので問題ない。
下北沢へ影野わかば初ワンマンを見に行く。久しぶりのleteは記憶の通りに教会のようで遠くから絶妙の鳴り具合で音楽が聞こえてくる。
影野わかばさん、第1部はストーリー仕立てで哀しい鬼と人間の話。昔かつおの遊び場で聞いたストーリー仕立ては血のにじむ努力をしてよじ登ったようなところがあったけれども、今日は実に自然に語って見せる。わかばさんは鬼なのかそれとも優しい娘なのか村人なのかというのはつまらない切り口で、実はわかばさんはそこにはいないのだ。ただそこに物語があり、うたがあり、ただそれだけのことで、わかばさんは見えるようで見えないし語っているようでいないのだ。文楽を見ていくうちに人形の遣い手が見えなくなってゆく、それがわかばさんの行きついたところだ。
たとえば声量であったり間であったり、いろんな要素があるのだろう。そこは僕にはわからないけれども、わからないということは巧みだということだ。
第二部は新曲含めてのライブ。ほっとした空気になるのがいい。達成感のある清々しい顔で歌うわかばさんを見れてよかった。
終わってOさんと少々雑談とお土産を渡し、とかげさんからCDを買いお土産を渡し。気に入っていただければなによりだしそうでなくてもこういうのは自己満足だからそれでいい。少し長話になってしまい他のお客さんに迷惑になったかと反省しなくてはいけないが、楽しかったからなかなか気を使えない。
楽しく帰宅。またとかげさんの企画を見れたらうれしい。