怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

高橋コレクション展「ミラー・ニューロン」

お昼から渋谷へ。ヒカリエで妻有トリエンナーレのPRをやっているが、泊まりで行くのはしんどいなあというのが実感。もう少し小規模ならいいのだが。
医者へ。検査がほんとうに実態を表しているのかどうか前々から疑問なのだが、まあ変わりないというからそうなんだろう。
終わって初台のオペラシティへ。楽しみにしていた高橋コレクション展「ミラー・ニューロン」なのだが、入った早々からがっかりだった。
初老の男たちが数人固まって大声で談笑。かなりうるさい。美術館で話すなとは言わないが、それなりの音量というものがあるだろうに、全く無視で居酒屋かと思うような話しっぷり。しかもそのなかのひとりを見て、心底がっかりした。この人を囲んでいるということはおそらく後援だかなんだかの面々が揃って談笑しているのだろう。我が物顔なのも納得だ。これがレセプションなら何も言わないが、しかし今は金を取って一般に見てもらっている時間ではないのか。客がこんな声量でしゃべっていたら監視員が飛んでくること請け合いだろう。関係者だからこそ手本になるべきところ、この狼藉はどういうことか。コレクションすることも大事だろうが、同時に品性を身に着けることを忘れてしまったのだろうか。
係員には非常にうるさく不愉快であり注意すべきである旨伝えたが、どうせできやしないことはわかっている。
そんなわけで展示の前半部分は金返せレベルだった。
一応作品の感想も書いておこう。
奈良美智はイラスト風なところが「誰にでも描ける」と言われがちなのだろうが、塗りの素晴らしさはこうして実物の大作を見るとよくわかる。
加藤泉は展示場所含め非常によい。今回はこれを見ることができたのが一番の収穫かもしれない。同様に塩保朋子も初見で素晴らしかった。宮永愛子は再見だったかと思うがこれも優品でかすかなナフタリンの香りと崩れかけた造作が最良の瞬間だった。
最悪だった前半部分を取り返そうともう一度見始めたところ、今度は男が女性の解説係を伴ってやってきて、これがまたうるさい。女性はさすがに声量を制御していて、耳障りなのは時々お追従笑いするときだけだったのだが、男は響く声でよく喋る。美術に関心なく他の客への配慮もできないなら見なくていいのに。もっとも、さきほどの件で必要以上に耳に障っていたという面はあり、これだけなら多少の不運としてあきらめのついたことだろうとは思う。にしても、本来静かであろう平日の午後にこれはよくよく運のない話だ。
4階の収蔵品展は、そもそもここの収蔵品は個人コレクションだったとのキャプションがあり、なるほどそれでいつも僕の好みと違うのかと納得。好みでないとはいっても筋の通った美意識に支えられた蒐集品で、決して悪いものではない。
冨田直樹は以前にも作品を見たことがあるが、解説のおかげですとんと腑に落ちた。作品をより深く見ることができ、また見るのに適切な距離を保つことができるようになった。筆致からして少し遠目に見たくなるところだが、実は少し近めのほうがこの作家にはよいと思う。
薬局に寄って帰宅。