怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

とかげのわかば→きらい・じゃないよ

お昼に荷物が到着。あまりの遅さに業を煮やして昨日メールで問い合わせたものが、慌てて送られてきたようだ。ということはとっくに出来上がって積まれていたのだろうが、発送しなかった理由はなんだろうか。まさか忘れるのを期待していたわけでもないだろうし、慣れた発送作業がそう面倒だったとも思えない。なによりいぶかしいのが、詫び状も説明もなにもないことだ。こちらの丁寧な督促に、即荷物を送りつけて終わり。なんなんだ。以前の某ギャラリーもだが、美術関係のところは最低限のビジネスマナーもわきまえてないところが多くないだろうか。ネットオークションのほうがはるかにマシ。
炊き込みご飯の残りで昼食を済ませる。
夕方、高円寺へ。アニマル洋子を覗いてみるがシャッターが閉まっていた。やはり休業中なのだろうか。心配だ。
時間まで都丸書店を覗く。今の時代、大学のそばにもこんなに硬い古書店は少ないだろう。二店舗あるが柔らかめのほうはバイトの女の子がスマホで本を撮っていたのでネット販売もしているのかもしれない。
頃合いなので無力無善寺へ。コモグチテルヲに続いてとかげのわかば。ちょっと自信はないが一曲目は新曲かな。風合いがそれっぽい。弾き語りというとどうしても等身大の自分というのを強く打ち出した人が多く、それが魅力にもなり退屈にもなるのだが、とかげさんはそうした弾き語りとは一線を画していて、アーティストとしての在り方を大事にしているように思う。もちろん曲にプライベートが影響しないわけはないが、それをどう昇華しどう見せるのか、そこを常に考えているとかげさんはやはりプロフェッショナルだと僕は思った。凡百のミュージシャンとは違うからこそ最初期の曲を瑞々しく演奏することができ、しかもそれが繰り返しでも焼き直しでもない、今の表現として聞けるものになっているのだと思う。
とかげさんは今日はダブルヘッダーでこのあとはポスポス大谷さんらとのライブ。ポスポスさんは以前聞いて、あのホーミーはもちろんアコーディオン演奏も好きになったので今日は本来そちらに行きたかったのだが、あいにくの事情でこちらに。という話をとかげさんとしたりしたが、次の演奏は石指拓朗。もう2年ほど前に三鷹おんがくのじかんでとかげさんと共演しているのを見ており、以来気になっていたが機会がなかったひとなので今日はこれも楽しみだった。なにしろ2年前なので記憶は定かでなくて細いストラップくらいしか覚えていないのだが、今日は弾き語りというよりソロミュージシャンと言ったほうが適切かもしれない。バックバンドがたまたま欠席したようなライブ感で、ちょっと戸惑った。おそらく石指さんもとかげさんとおなじく切磋琢磨を重ねてきたのだろう。
その次が坂口沙子。今日は紅悪歌合戦ということで男女交代でのライブのようだ。この坂口さん、名前すら初めて聞いたのだがなかなか良かった。ギターをつま弾きながら安定したトーンの声を放つのは正統派の弾き語りのようでもあるが、音の響きを大切にしているつくりがエレクトロニカを思わせる。アコギとボーカルなのに。ふと思い出すのがフアナ・モリーナで、おそらく本人も好きなのだろうと思う。とても良かった。また聞きたいのでチェックしておこうと思う。
このあたりで時間が気になったので外へ。東中野に向かう。
食事する時間を削ってブックオフ黒井千次「時間」460円と国立西洋美術館エドアルド・ムンク展図録810円。黒井千次はあまり見かけないしムンク展の図録はちょっと古いはずだが状態がいい割に安いので拾いものでした。
ポレポレ東中野へ。一度行かなきゃと思っていたのが今頃の訪問。今日から伊藤猛追悼特集とのこと。行くとすでにかなりの客が開場を待っており、最終的にはほぼ満席となっていた。
今日は初日で「きらい・じゃないよ」。なにしろ8ミリフィルムなので映像は起伏がなくベタ状態。音ももちろん良くない。フィルムの特性上セリフも音もすべてアフレコのはずだ。
この映画、ふーんと思って見ていると途中で急展開があってそれまでの感想がひっくり返ってしまうというところが面白いつくりなのだが、それ以外に関しては20年前に映画サークルが作ったようなところが随所にあって鼻につく。なのだが、その手作り感は独特の感慨を思い起こさせる。ああ、脚本はああでもないこうでもないとコタツを囲んで夜中に言い合ったんだろうな、カメラの後ろに監督がいてカタカタ音がして、ロケしようと思ったら予想外に工事してたりなんかしてどうしようと相談したりなんかして。その貴重な結晶がこうして残ってる。90分という上映時間は、僕にとってはその感慨のための時間だったような気がする。
上映後は当時の助監督と出演女優によるトークだったけど結構ぐだぐだ。ぐだぐだのトークも乙なものだけど時間も時間なのでかなり眠くなってしまって早く帰りたかった。