怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

ユートピアを求めて ポスターに見るロシア・アヴァンギャルドとソヴ

朝、ゆっくり寝させてくれたらいいのに中途半端に声をかけられるのは困る。
お昼、妻が帰ってから出雲そば。ニシンもおいしい。昨日の夕食が少なすぎて空腹だったのが一気に満たされた。
すぐに世田谷美術館へ向かう。最近では少し暖かめだし、風もないので自転車にはうってつけ。途中、成城の住宅街を通過した。普通のニュータウンなのだが、これが高級というのだから付加価値というのはわからない。
45分ほどで世田谷公園に到着。花をつけた樹があるので近寄ってみたらジュウガツサクラだそうで、つまり桜である。ジュウガツではないからもう花も萎みはじめているが、ちらほらと咲く桜もいいものだ。
世田谷美術館は「ユートピアを求めて」展。松本瑠樹という実業家の個人コレクションだそうで、BA-TSUというDCブランドの創業者だそう。アパレルは当たれば大儲けとは聞いていたが、本当なんだなあ。ただこのコレクションは単に金に飽かせて買い漁ったものとは違い、旧ソ連のポスターというジャンルに絞って蒐集されているから僕のような美術好きの端くれからしてもその理念に畏敬の念を覚える。しかも死後はこうして美術館に寄贈され、そのうえ自宅も寄贈したというからこれは立派な篤志家だろう。ここまでとはいかなくても、実業家はもっと利益の一部でも社会に還元してくれるといいのだが、聞こえてくるのは浅ましい話ばかりだ。
旧ソ連の初期、つまり社会主義の明るい未来という理念が実在した1905〜1930あたりのポスターが中心なので、ポスターも非常に前向きで連帯感と希望に満ち溢れている。僕が見に行こうと思ったのは、社会主義国特有のあのデザインを見たかったからなのだけど、デザインの素晴らしさだけでなく、キラキラとしたその熱量に魅せられる。いい作品のレプリカでもあればぜひ欲しかったのだけど、残念ながら希望のものは売っていなかった。たぶん権利関係とかいろいろあるんでしょう。
難を言えば、中盤の映画ポスターが多すぎてうんざりするところ。
展示室を出るとアンケートへの協力を求められ、次回展のチケットがもらえるというので快諾。まあアンケートは割と書くほうですけど。
2階の常設会場では、これも塩田岩治という個人寄贈の北大路魯山人展。正直なところ、魯山人の作陶の良さがあまりわからない。器に料理を盛り付けた秋元茂の写真作品のほうが魅力的だった。
美術館を出るともう夕暮れ。
例によってブックオフに立ち寄り、「ツインピークス:ローラパーマー最期の7日間 サントラ」250円、蜷川実花「Liquid Dreams」500円。レジが長蛇の列だった。この規模の店で2台しかなかったらそうなるだろう。もうちょっと考えたほうがいい。
暗い道を自転車で帰る。世田谷の道は狭くて危ない。
夕食は久しぶりにロールキャベツ。妻が支度中に左手に熱湯をかけてしまい、火傷寸前になった。明日の仕事も行くなと止めたが、どうしても行くというので説得はあきらめたが、そうまでする仕事じゃないよ。