怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

バルテュスからポーラXへ

今日も早めに起床。暑くなってきたから実際その方がいい。
予定よりやや遅く出発。根津からまわろうとしたら公園の入り口がなく、延々と遠回りさせられる。上野動物園のせいだ。
ようやく東京都美術館に到着。それなりに人も多くさすがにバルテュスだが、疲弊するほどの極端なものでなくてよかった。
子供時代から画業に励み母親からも奨励されたバルテュスの作品がほぼ年代順に並んでいる。「夢見るテレーズ」などのバルテュス節満開な作品はあまり多くなく、風景画なども数多いので作品全般を知るにはいいが、バルテュス世界に浸るという感じではない。僕の中ではバルテュスロリコンだったのだが、実際に見てみると二十歳前後くらいの女性をモデルにしたものも多いようで、少し見方が修正された。といっても映画「ロリータ」だってそんなものなのだし、要は未成熟な女性が性に目覚める時期を描いたわけだから、そう言ったって差支えないのだが。
代表作などいくつかははっとさせられるところがあるし、確かにうまい。ただ好き嫌いでいうなら、あまり気が乗らないかなあ。あと、やはりとびぬけて素晴らしい時期が終わると平凡な作品に堕していくあたりは見ていてうーんと思います。
それからこれは完全に僕の憶測なんですけど、あの特徴ある幾何学風なポーズはどうも漢字のシルエットに似てはいないだろうか。意図的なのかそれともバルテュスの嗜好がああいった形象に向けられるものだったのかはわからないけど。
それにしてもいかに世界の大画家とはいえ、三十以上年上の男に口説かれモデルとして(スケッチから見るにおそらくヌード)呼ばれ赴き、あっという間に結婚する二十歳の女子大生。うーん。まあ兄の妻の連れ子を7年間モデルにというのもなんかあれだし。
ひととおり見終わって確認したところ、まだ当日券はあるようなので急ぎ吉祥寺へ。乗り過ごしたりもしながらなんとかたどり着くと当日券をゲット。よかった。
さてお昼は、と思ったら、ちょうどてんやが18の日ということで390円。まあ100円引き券を使うのと大差はないのだが、せっかくなので食べることに。店員さんは大忙しの模様で、そんなにきりきり働かずに適当に捌いていいんだよと言いたくなる。
食後はディスクユニオン。セールをやっていたがお金がないのでスルー。ブックオフでEric Hutchinson「Sounds Like This」firefiles「Autumn Almanac」各280円。
時間がきたのでバウスシアターへ。
爆音映画祭は完売となるとこんなに人が来てるのかと驚く。牧野さんのときもこのくらい来てほしいのだが。
整理番号はだいぶ後ろだが、開場時間に来てない人もそこそこいるので、中段端の方で席をゲット。ポーラXを見る。
確かに爆音映画祭というだけあって音のメリハリはビビッドで、以前に見た時と印象はかなり違う。それはいいことなのかもしれないが、本来この映画が持っていたはずの混沌として沼を這いずるようなドロドロした情感が薄れ、三人の感情が非常に薄っぺらく感じられる。好きな映画だし、だからこそ来たのだが、爆音映画祭とは思い入れのある映画を再確認するには向いていないのかもしれない。面白い映画を違った見方で楽しむといった使い方がいいのだろう。
ただ今日見ていてふと思いついたのは、この混乱した作品はピエールの第二作の映画化なのではないだろうか、ということだ。ロックという名前で出版社に送り「妄想と混乱の産物でただの模倣」と言われたあの作品。そう考えるとすべては辻褄が合うような気がする。
それにしてもあのラストシーンは本当に素晴らしい。あの1分間を見るためだけにもう一度見たいと思わせてくれる。美しい。
3回券の次は何を見ようか、ブルーベルベットはやめた方がいいかなどと考えつつ帰宅。
僕が遊び呆けている間に妻が夕食を作ってくれてありがたい限り。