怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

青春18きっぷで巡る美術の旅

朝4時半に起きて支度。目覚ましが鳴る前から目が覚めてたから優秀だ。昨日早く寝たわけでもないのに。
余裕でパンも食べて駅へ。意外と人が多い。満席に近い。都心へ向かう電車だというのにみんな疲れて寝ている風なのは、もしかして昨日の花火大会のせいなのか。
駅に着いて足早に乗り換え。意外とすんなりで、余裕を持って乗れた。あとは北上してゆくだけ。
高崎での乗り換えは少し余裕があったので外に出てみたが、駅前は大きなビルが立ち並んでいて少し歩いただけでは面白いことなんかなさそうだ。おとなしく電車に乗り、渋川へ。
渋川は広々とした駅前で人は少ないが寂れているというほどの様子ではない。伊香保温泉に向かう老人たちに交じってグリーン牧場へ。
こんなところにバスで来る人はいないらしく、降りたのは僕と病院へ向かうおばさんだけ。
ハラミュージアムアークは広い芝生の中に佇む黒い建物で、一見洋風だが黒い板壁など和の要素も取り入れている。
今回は「ポップ!ポップ!!ポップ!!!」展。所蔵品が中心のようで、展示の1/3がリキテンシュタイン。偏り過ぎ。ただ、そのほかの作品ではミランダ・ジュライの「廊下」が最も印象的だった。閉塞感がありそうで、でも適度に開放された空間に誘われて、出るころにはすっかり虜になってしまう。これでわいわいがやがやだったら興ざめだけど、なにしろ訪れる人の少ない美術館なので邪魔されずに作品に浸ることができるのもよかった。
また、草間彌生の「ミラールーム(かぼちゃ)」も幻想的で息を呑む美しさ、作品数は少ないが、展示空間や美術館の佇まいも含めると十分価値のあるものだった。
裏手の観海庵も須田悦弘枇杷」やナム・ジュン・パイク、カプーアなど錚々たるもの。
屋外展示も含め、来てよかったとつくづく思った。
バスを乗り逃がして少し間があるので、歩いて先のバス停へ。バスの運行ルートの通り歩いているか心配になったり、3つ先まで歩いてしまい次のバスに間に合うかどうかひやっとしたりだけどまあそれも旅の醍醐味だから。行きと同じ運転手さんのバスに乗り無事渋川駅に到着。
あまり時間もないので売店のような駅のコンビニ(なにしろ弁当は売ってない)でおにぎりを買ってむしゃむしゃ。
駅のホームでツイッターを見たらズボンズのラストライブの予約がとっくに始まっていたらしく、慌ててメールするも間に合わず。ただキャンセル待ちには入っていると思うので多分大丈夫だと思うけど。
ローカルな電車で横川へ。ローカルとはいっても、沿線はそれなりに人家がたて込んでいたりするので、旅情というところまではいかない。
横川駅は峠の釜めしで有名なところ。本来軽井沢の一つ手前の駅で、山越えのために待機時間がかかっていたのを利用して売りだしたというが、今は軽井沢にはつながっていなくてここが終点。当然ひと気もまばらである。軽井沢へはバスが走っていて、その待ち時間に少しだけ散策。本当なら次のバスに、と言いたいところだけど、そんなことをしていたら大変なことになる。青春18きっぷの旅とは気ぜわしいものなのだ。
バスで峠越え。巨大な眼鏡橋があって、これが廃線の通っていたところらしい。なるほど大変な峠だ。この眼鏡橋も車ならゆっくり観光できるわけで、そりゃみんな車で来るわな。
軽井沢到着。渋川や横川も涼しかったが、さすが避暑地だけあって軽井沢は肌寒いくらい。しかし駅は大量の荷物を抱えた家族連れなどでごった返し、その喧騒は耐え難いほどでリゾートの雰囲気は全くない。中島みゆきの「あたいの夏休み」をふと思い出す。
目的地たる軽井沢ニューアートミュージアムへ。名前もあれだが、隣に系列の結婚式場があったりしてどうも真面目にやってるものとは思えない。ただせっかく来たんだからと入って見る。1500円という高い入場料。口ぶりからすると無料券を捲いているようで、なんだか馬鹿馬鹿しくなってくる。
その「わたし超スキッ 草間彌生」展は思ったよりまともな展示だった。松本時代の初期作品が数点、東京へ出てNYへ行ってからの作品が数点。「自己消滅(Self Obliteration)」がやはり見事。日本に戻ってからの時期は「不遇」と括られていたけど、この時期の陰鬱な作品群は実は割と嫌いではない。嫌いではないが、ただここで展示されていたのはほとんどが駄作で、良いものは数点しかない。
最後が名声を博した時代のもので、まあ悪くはない。最近のものは入ってないし。
というわけで、1500円と言われるとちょっとどうかと思うが、展覧会として極端にひどいわけではなく、まあいいんじゃないかと。たださすがに草間さんの作品に食傷してきたのは否めない。
図録もあったけど、作りがちゃちなんですよね。まあ土産物品的というか、本職ではないというか。でも松本美術館やワタリウムから借りてきている以上、ちゃんとした美術館なんだろうなあ。
会場の人はみなさん感じよかったです。結婚式場もやってるからかな、
軽井沢の駅に戻ると大渋滞。それみたことか。ロータリーに駐車している車のせいで後ろのバスが動けないようだったけど、たぶん大丈夫だと思うんだけどね。横目で通り過ぎてバス停に行くと、その影響でバスが来ない。あまり遅れると帰りの電車に影響してくるから気が気じゃなかったけど、なんとか間に合いました。
峠の釜めしを買い、ほんとは休憩所で食べるつもりだったけどその時間はないので車内で頂きます。まあ、普通の釜めしですね。それだけ。なにが評判なのかよくわからないけど、食べないと後悔するんだろうからこれでいいや。
高崎で乗り換え、帰路。
大宮で下車。ブックオフでラブ人間「これはもう青春じゃないか」500円、渋澤龍彦「日本芸術論集成」750円、STUDIO VOICEメイプルソープ特集105円。
大宮のまわりはなかなか面白げな路地があり、歩いていると楽しくて、高崎あたりの地方都市よりこういうところの方がいいのかも。
帰宅して焼飯と春巻きを食べた。うっかり妻にあたってしまい、反省。
疲れた。