怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

MOMATコレクション、とかげのわかば@代々木Barbara

大荒れの天気から一転して春らしい日和。
朝から九段下へ。武道館では明治大学の入学式をやるそうで、ついこないだまで高校生だった人たちが集まっている。僕の時はたしか講堂かなにかに集まったような気がするが、あまり覚えていない。武道館借りてまでやるほどのものなのかという気もしたが、まあいいか。
予定通り10時過ぎに国立近代美術館に到着。先日時間切れで見れなかったコレクション展を見に来たわけだ。
4Fはまあいつも通り。「美術にぶるっ」展に出ていたものも多い。なかに吉野の桜を描いた六曲二双くらいの大ぶりな屏風があって、これがまさにこぼれ散る桜の花びらが屏風に付いたかのような見事なものだったのだけど、見に来ていたおばさんが一目見るなり大きく感嘆の声をあげていた。絵を見て思わず心から声が出てしまうことなんて、僕にあっただろうか。絵を見た回数や質や鑑賞眼に関してはこのおばさんに決して負けてはいないはずだが、このとき僕はこのおばさんがとても羨ましかった。それでこそ絵を見るということなんだと思った。監視員さんもあえて注意しなかったのは、僕と同じように思ったからかもしれない。
3Fでは盛田良子コレクションの展示があり、その盛田良子氏の略歴を見ると三省堂社長令嬢にしてソニー創業者盛田昭夫氏の細君であるとか。結婚した年からするとソニー黎明期のことで、そのような時期に大出版社の令嬢が新興メーカーの起業家と結婚というのは少々驚きである。どうしてそうなったのかわからないが、おそらくその縁組はソニーの人脈と資金調達に大きな影響があっただろう。ソニーの発展は単に技術力や盛田昭夫らの力によるものではないのだろう。
という話は美術とは何の関係もないのだが、この人名を冠したコレクションが寄贈ではなく購入だというのも驚きで、もちろんいかに資産家とはいえ価格が相当なものだから寄贈しろとは言えたもんじゃないし安く譲られたのかもしれないが、前所有者の名前をつけるのはどうなのか。一部には寄贈品もあるし、今も所有しているものを借りてもいるのだが。
とはいえ、この盛田良子コレクションの質は相当なもので、どれもこれも近代美術の逸品。しかも一本筋が通ったテイストがあり、点数は少なくともこれだけでちょっとした美術館のよう。しかもこれらの品々が盛田家のリビングに飾られている写真を見せられると、金持ちってこういうことなのねと思わざるを得ない。いやはや。
3Fは少し僕好みなのでゆっくりと鑑賞。写真作品にいいものがあって、そういえばここはSally Mannの作品も所蔵しているはずなのでいつか展示してください。
2Fは見たことのあるものが多かったけれど、そう悪くもなく。
見終わると12時過ぎており、急ぎ帰宅。パンを2つ食べて昼食として、クリーニングを取りに行った。
クリーニングの仕上げがおかしいと指摘したが、ろくに聞いちゃいないようなので店を変えようかな。業種がら理不尽なクレームもあるのだろうが、仕立てに合わせた仕上げをする気がないのでは使う気になれない。
夕方ご飯を炊きいなばのタイカレーグリーン。妻の分を残しておいたが、適度な量がわからないので困る。
家を出るとなんと事故で電車が止まっていて、どうしようかと思ったがなんとか復旧し新宿へ。たしかに迷惑はしたのだが、だからといって死を悼む体裁くらいはとれないものかと他の乗客に思ったりもした。
新宿から代々木バーバラへ歩いてゆく。思ったより近いので時間調整と思って入ったブックオフJonsi & Alex「Riceboy Sleeps」を500円で発見して即買い。ついてるなあ。
バーバラのあたりは薄暗い小さな盛り場のようなところで、新宿のビル街から一転しているところが面白い。東京は歩いていないところがたくさんあるので、こういう発見ができる機会がうれしい。
最初はジュリーフジヲ。曲は悪くないと思うのだが、いかんせんアレンジが平凡。ドラムなどがもっと立体的に聞かせられるようになればだいぶ変わってくると思う。高津守は弾き語りでまあスタンダードな感じ。とかげのわかばさんは、その前に少し話したのだが、風邪は快方に向かっているようで金曜よりだいぶ元気そう。なぜかホテルの話になり、名古屋のアペゼといういいカプセルホテルを教えてもらったので参考にしよう。東京の安いホテルはどうなんだろ。僕が関西に戻ったら東京の宿も探さないといけないのだが、使えるのかな。
そのとかげのわかばだが、今日は確かに調子がいい。特にギターが聞かせられて、とかげさんの上手さが光っていて曲に説得力が出てくる。曲は金曜と同じものも多いのだけど、組み立てのせいか新鮮さもあり、のめり込んで聞ける。同じ人のライブを1日おきで聞くのはどうなのかと自分でも思わないわけではなかったが、こうしてみるとライブの良さを実感する。ほかのお客さんもステージに引きつけていて、ファンが増えるといいんだけど。
4番目がOCCURPOO。ピアノとドラム(というよりパーカッション的)の二人組で、ピアノだけでも相当なもの。僕の趣味とは少し離れるけど、この人は今日の収穫ですね。
最後がTHE VOUT。まあうまかったです。
終わってお話し中のとかげさんに無理矢理ご挨拶して、次は7月にAPIAで呼ばれたとのこと。よかった。いいものは誰かが認めてくれるんだな。東京のライブはあと1日、がんばって関西に帰って下さい。
外に出ると静かな夜の町で、気持ちが不思議に静まってゆく。ライブで得た心のさざめきは音のしない街角が固着してくれる。もちろん本当は車や人の声など音はするんだけど、それは騒音ではなくて演出のようなあるべき音。いいライブを聞けた満足感とともに家々の間を歩いて新宿に向かった。
小腹がすいたので駅前のスーパーで枝豆を買い、妻に少し奪われつつ食べて寝る。