怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

恵比寿映像祭3

お昼から休みにつき恵比寿へ。恵比寿のNADiffへ行き、お店の人に聞くと宮永愛子「空中空 特装版」を出してきてくれた。本のつくりは丁寧で、それだけでもう芸術的。ただジグソーパズルのピースの形がいまひとつなのと、気泡があるのが気にかかったが、気泡は多分揮発させるときに必要なのかな。失敗作ということではないのだろうからそこは納得することにして、はい。39,900円、大枚ではあるが納得。エディションは40でした。本も美しいし応対してくれたお姉さんも美しく、なにかと満足です。
大事にそーっと抱えながら東京都写真美術館へ。
恵比寿映像祭、今日はB1から。B1はあまりこれといった感じはなく。たぶん初めて3D映像なるものを見たが、別に大騒ぎするようなものではないし目が疲れるし、多分お金を出して見ることはないんじゃないかな。皆なにを騒いでたのか、さっぱりわからない。
時間が来て1Fで「日本新進映像作家たち」の上映。小森はるか「the place named」は空気のような作品。悪いとは思わないが、新進というからにはもう少し新しい感性、驚くような個性が見たい。若いのに技術的に秀でてますね、というのは客から見るとあまり意味が見えない。告畑綾「今村商店」はクレイアニメーション。5分ほどの短い作品だが、そこに人生が詰め込まれているのにそうと感じさせない長閑さがよかった。福崎星良「Come Wander With Me」はドキュメンタリー的な素材をまとめたフィクション。まあよくある感じですね。若さは感じさせるが、うーん・・・
まあそんな感じで、どうもこの恵比寿映像祭、僕には合ってないのかな。それがわかっただけで収穫です。来年来ることがあれば、よほど関心のあるものだけに絞った方が良さそうだ。
もう一度B1に戻ると、川口隆夫パフォーマンスのリハーサルをしている様子。しずかな動きが呪術的でなかなか見ものでした。得した気分ですね。これは展示を見ただけではわからない、いわばパフォーマンスを見てなんぼじゃないかな。
2Fにのぼり、シェイラ・カメリッチを再観賞。「幸福」という映像作品、ほとんどなんの説明もないのだが、これは多分作家の意向でもあるのだと思う。僕が思うに二人の登場人物は同一人として見るのが正しいのではないかと思ったが、どうだろう。あと、「サンセット」という作品はウィリアム・バシンスキーの「911」にほぼ同一といってもよいほどよく似てる。
クリスチャン・ヤンコフスキー「ドバイの瞳」どうもヤンコフスキーは合わないな。
宮永亮「arc」は、幻想的で悪くないけど、でも僕にとってのベストはその次に展示されている作品。
ベン・リヴァース「スロウ・アクション」。坦々と映し出される荒涼とした映像と平板な語り口によるナレーション、綿々と続く営み。観客を謀ろうとする意図などないかのように見せながら、しかし僕を絡め取ってゆく。やはりこの人、天性の作家ではないか。
もう一度リピートしたいくらいだったが、もう7時だし空腹なので帰宅することに。荷物を大事に抱えて帰宅。
妻の食事がいまひとつだったのと、買ってきたどら焼きが悪くはないながらも所詮どら焼きだからさほど気に入ってないと言うと明るい妻が顔を曇らせていて申し訳ない気分に。言うのはともかく、言い方を変えるべきだったか。ただ、何度もしつこく聞かれたら何度も答えるしかなかったりするし。