怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

先日読んだ「憂鬱たち」を少し反芻している。
鬱病に悩まされる女性の妄想を描いていて、気違いじみた振る舞いが・・・と読まれがちだけれども、よく読むとそうではない。
「ミンク」を例にとると、毛皮を買いに来た客がそれらしく無難な言葉を選んで店員に告げるのはだれもがやっていることだ。お目当てがありながらそれを隠しつつ近づくのも普通。断ろうとして結局買ってしまうのもよくあること。何もかもが普通なのだ。別人を同一人物と認識したり、自分を誹謗するような聞き違え・思い込みなどは病気の部類なのだが、それ以外はごく普通の行動だし、病気といっても自分には覚えのあるような程度のもので、極端ではない。奇矯な人物に見せてごく普通の人物を描いているところに金原ひとみの真骨頂があるのだろう。
夕方嫌な知らせ。せっかくの旅行を憂鬱な気分で過ごしたくないものだが。