怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

直島の旅

夕方っぽいけど早朝です

6時ごろ同室の人が起き、僕も目を覚ます。ベッドが4つでいつのまにやら満室、床も入れたら5人寝てたんですね。ほう。
邪魔にならないようラウンジで荷造りし、荷物を置いて出陣。バスの時間まで少しあるので、直島銭湯や赤南瓜などを見る。サンクスでおにぎりを買いこみ、バスでつつじ荘へ。そこから屋外作品を歴訪。
草間彌生の黄南瓜、ニキ・ド・サンファールなどなど。南瓜シリーズは正直なところ全く評価していないのだが、これは美術館に置いてあるのと違い、そのロケーション効果でとてもよくて直島のランドマーク的作品だと思う。昨夕もそうだし今日の帰途もだが、とにかく見てしまう。来る前はケッと思っていたりもしたが間違いでした。ベネッセ前の作品群ではダン・グラハム「平面によって2分割された円筒」。入った瞬間にちょっとのけぞってしまう。透明感とのバランスが素晴らしかった。岬側ではウォルター・デ・マリアの「見えて/見えず 知って/知れず」が異彩。ガラスにへばりつくようにして見始めると、魅入られたように離れられなくなる。光をさえぎってしまう薄汚れたガラスのおかげで効果は半分以下だと思う。仕方ないんだろうけどガラス窓さえなければと思わずにいられない。これは屋外ではなくて屋内に移設してもらいたいところ。杉本博司はなんというか自己満足に見える。ロケーション効果はあるにせよ、それを十分に生かしているとは思わない。あと、小沢剛の「スラグブッダ88」はまずまずでした。ジョージ・リッキー「フォー・ラインズ」は場所が良く分からず見れなかった。まあ見れなくても別に、ですけど。
ベネッセハウスミュージアムは8時からなので僕みたいな早朝派にはありがたい。人も少ないし。安田侃「天秘」を堪能できました。たしかに気持ち良かった。ただ、天気が悪い日に来た人は楽しめないし、あれが気持ちいいのなんてわかりきってるし、それを褒めていいのだろうかとは思う。作品は総花的というか、有名作家の作品を脈絡なく集めただけのように見えて美術館としてのトータル性は低いのがちょっと。あと、地中美術館もだけど、スタッフの感じがいまいちよくない。年配の方たちはいいんだけどね。よかったのは、ブルース・ナウマン「100生きて死ね」、柳幸典「ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム1990」「バンザイ・コーナー」。
李禹煥美術館は飛ばしました。あんまり好きじゃないし。もう一度来たとしても飛ばすかもしれない。で、地中美術館。モネはそもそもあんまり好きじゃないんですよね。好きな人にはこの大きさの作品ってたまらんものがあると思うけど。ただ、床の大理石はよかったな。ほどほどに柔らかい感触がなんとも気持ちいい。これも安藤忠雄の着想なんだろうか。らしくないけど。ジェームズ・タレルは、オープンスカイは昼は金沢と同じなので別に。オープン・フィールドとアフラム、ペール・ブルーは光のイリュージョンで良かったです。僕は15分くらい並んだけど、帰るころにはもっと長い列だった。とはいえ、これを見ずには帰れないよね。並ぶべき。そして圧巻がウォルター・デ・マリア。壮麗にして神秘的で、大理石の球体から目が離せない。建築との相乗効果も最高でこれは素晴らしいです。とはいえ、2000円はきついわ。ショップでハンドブック買いました。ウォルター・デ・マリアのCDは悩んだんだけど買えばよかったかな。うん。
歩いて屋外作品の残り一つ、「もうひとつの再生」まあまあです。それよりキツツキがココココと木を穿っているのが印象に残った。引き返してネコバス停。ほほえましいですねというか、廃バス標識を柵に利用してるんですね。そっちのがアートだと思った。で、このコースは黄南瓜が上から見えるんですね。景色もいいし、時間がある人はこっちのルートもぜひ。黄南瓜側から少し歩くだけでもそれなりの景色です。
最後にベネッセハウスのショップへ。ここで杉本博司のポスター発見。これから丸亀に向かってそこで買おうと思ってたやつ。じゃあ行かなくても別に。ということになる。半分くらいはポスター目当てだし。しかも、よくよく見るとそんなに良くない。猪熊弦一郎美術館ではフレームに入ってちゃんと壁に飾られていたから凄まじく見栄えがしたけど、土産物屋の壁に吊るされていると3350円出すものには見えない。うーん。じゃ、いっか。ということになりました。
というわけで家プロジェクト。こうなるならCD買えばよかったし、もう少し急いで見ておけば時間もと思ったけど、時間を無駄にしたわけじゃないからいいや。バスで本村へ。センターでチケットを買い地図をもらって南寺へ。そんなに人がいないように見えたので少し足を延ばして中奥というカフェでランチ。これがよかったです。観光地化したエリアから少し出たところ、畑の横の農道を通って中根さんのお宅。窓から見える農村風景は観光地になった直島では希少なロケーション。僕はソファに座ることができたので余計によかったですね。混んでたら当然カウンターしか無理だっただろうし。キッシュセットを注文。味も良かったです。カプチーノもおいしいし、1時間くらい居れそう。疲れがとれた。
南寺に戻ると、客が少ないのではなく整理券だった模様。さっきもらっておけばのんびりできたのに。仕方なくその間角屋と護王神社を観賞。角屋はよかったですが、護王神社は別に、ですね。さて南寺。昨日に続いてチケットを無くすという痴呆をさらしたあとですが、素晴らしかった。真っ暗闇と思えたのに、突然ほのかに白い四角形が浮かび上がるのはちょっと感動的。近寄っても立体感をろくに得られないところもすごい。腰の高さに空間があるなんて直前まで近づかないと全然わからない。正直、僕だけ見えなかったら悲しいなと思っていたし。まあどう考えても他の人より見えるのが遅かった(遅れて入った組だったら間に合わなかったかも)けど。うん。これは神秘的な体験でした。
そこからはいしゃと石橋と碁会所。はいしゃは、トイレ付近が妙に臭いのが困ったが、大竹伸朗のレトロエロスな怪しさ全開で面白かった。でも正直直島銭湯のほうが面白い。石橋は、説明の兄ちゃんがふすまに水平線がというので杉本博司ですねと言ったらまるで知らない様子だった。多分本歌取りだと思うんだけどなあ。あと、入ってすぐの作品が完全にスルーされていて、みんな慌て過ぎ。碁会所は別に。須田悦弘の作品をこういう形で見たいとは思わないなあ。きんざは、空いてればでいいでしょ。そこまで見たいとは思わない。
再訪するとしたら、南寺と角屋は必須、はいしゃがどうかですね。そのほかに街全体も興味深く、ちょっとした家や看板などがいい。あ、ラウンジは特にこれというのはなかったです。結局モノが気に入らないと買わない、お土産的な判断基準がないもので。
宮浦に戻り、直島銭湯をもう一度見て荷物を引き取る。荷物は僕のしかなかった。みんなどうしたんだろう。自販機の上に置いていた流木が一瞬見えなくて焦ったけどちゃんとありました。
フェリーに乗り込みさようなら。赤南瓜見るのを忘れてたけど、正直黄色に比べると断然落ちるんで。
高松に着き、定時より2分ほど早かったのに意を強くして明石家へ。商店街で流木に注目したおじさんに声をかけられた。ふふふ。明石家でぶっかけ温と半熟卵天とから揚げ440円。帰りに気付いたけど、さだまさしの新聞記事がいくつも飾ってあるのが。
急いで戻る。途中、 を発見。ふむふむ。時間を大幅に残して築港高松到着。バスに乗り込みほっとする。
フェリーは今日もがらがら。風呂でシャワーを浴びたけどもしかしてドライバー専用ですか?次は遠慮しておこう。そして展望デッキで遠ざかる高松の灯を見ながらビールで祝杯。楽しい2日間だった。
横になったら案外熟睡して三宮へ。今日も時間はだいぶオーバーして、終電ぎりぎりだった。のんびりしてたら乗り遅れるところだったよ。妻が西北に迎えに来てくれた。