怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

いまごろ悪人

芦屋市立美術館に行こうかと思ってたけど雨模様につき中止。
「悪人」を見る。妻夫木聡が少ない台詞の合間に見せる表情といい目といい素晴らしい。最終盤まで二枚目らしい顔を見せないところといい、記念碑的。深津絵里も片田舎での閉塞感を表現していてこれまたよい。半ば消費され尽くしたかのように思い込んでいた俳優がここまでの演技をしているというところに驚かされる。脇役の樹木希林柄本明は芸達者なところがかえっていまひとつだが、それは彼らの問題ではない。エンドロールの時間の感慨はなんともいえない。福原美穂の歌が邪魔でしょうがなかった。ここだけははっきり欠点。
思い出したのは「カイロの紫のバラ」だ。この映画は「カイロ」と実によく似ている。孤独で退屈で同じことの繰り返しの生活をおくる女性の前に突然スターが現れ、非現実的なひとときを享受し、時が来るとスターは銀幕に戻り女性は元の生活に戻る。スターと過ごした短い時間を反芻しながら。スターと過ごしたことは幸せだったのだろうか。彼女の余生をより惨めにしただけなのではないだろうか。それともその記憶だけで生きていけるのだろうか。深津絵里が自問自答しながら生きていく日々はなんなのだろうか。答えはない。名作とはそういうものだ。
夕食は蒸し鶏。いまひとつかなと思ったら絶賛された。冬瓜の煮物は自分でもうまくできたと思ったがやはり好評。焦がしそうになったところを間一髪だったのがよかったのかも。
夜、よしずの修理。