怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

桃の産地

公孫樹

朝から和歌山に出かける。昨日の宴会のせいで地図を半分忘れてしまったが、肝心のところだけはあるのでなんとかなるだろう。
特急で天王寺から一駅、和歌山に着く。和歌山線に乗り換えるが、客は存外多い。単線ワンマンのローカル線だが、それなりの活気はある。しかし沿線風景はだんだん寂しくなり、駅も怪しくなってくる。岩出で大勢降りた次の駅、下井阪で下車。ホームがあるだけといってもいいくらいの何もない駅であるが、国道沿いはにぎやかである。歩いて向かう途中、タクシーを見つけて拾う。流しのタクシーというのは基本的に存在しないのだろう、運転手にやや驚かれながらも目的地に到着。しばし仕事。みかん畑が広がり、枯れ草の茶色ととみかんの木の緑に黄色い実が点々としている様子は美しい。雄滝雌滝公園というものがあったので行ってみるが、なぜか立ち入り禁止となっている。人目もないので入ってみるが、何しろ人の気配がないとので枯葉の落ちる音も不気味だ。行ってみると、かかっていたつり橋が最近落ちたものらしい。それで立ち入り禁止になっていたのだろう。理由はわかったが、ベンチや水飲み機が朽ちかけているのであまり心が落ち着くものではない。早々に立ち去る。
今度は徒歩で駅に向かう。同じ駅では面白くないので北西にある貴志の駅に向かう。車は見かけるが歩いている人は全然いない道を歩いてゆき、貴志川を越える。越えたところの向こうには山がある。駅があの山の向こうだとすると相当な距離があることになる。そんなわけはないのだが、しかしそうとしか思えない。そもそも南海とJRの線はそこそこ離れていたはずで、とするとあとどれだけかかるのか見当もつかない。しかし目算では1時間半で着くはずで、とすればあと30分くらいのはずなのだ。さすがに焦ってくるが標識はないし目印もない。そうそうと思い出して携帯で地図を見ようとするがなぜか暗証番号を要求されて使えない。困ったなあと思っていたところに救いの神、つまりコンビニが見えた。
地図を立ち読みしてみると、どうやら自分はJR船戸駅に向かっているようだ。貴志駅は全然方向が違う。まだ距離はあるが、でも着実に近づいていることは間違いない。ほっとしてホットの缶コーヒーを買う。缶コーヒーを買うなんて何年ぶりだろう。あまり好きではないが冷たいものを買う気温ではないし、もう12時半過ぎだから糖分補給も必要だし、それに本当に助かったから。
また歩き出し、難なく線路を発見。やれやれ。駅までの道に少し迷ったが、やっと船戸駅に到着。ひなびた駅で味わいがあるがタクシーが客待ちをしていて写真はあきらめる。無人駅の閑散としている待合室は大好きだ。廃墟のようなプラットホームも好きだ。本当に動いているのかどうか少し気がかりな券売機も好きだ。
和歌山駅に着いてまずは井出商店に行く。小さな小さな店だ。戦後のバラックがそのまま残っているような街のラーメン屋だ。値段も500円、大盛で600円と良心的だ。ほどなくラーメンが出てくる。とんこつラーメンに良く似ているので食べやすい。麺が柔らかすぎると以前聞いたことがあるが、別にそんなことはない。チャーシューもうまい。なかなかいいもんだ。来て良かった。観光客も多数いるようだが、観光客相手というわけでもないこの感覚はいい。
その後和歌山城へ行き、西の丸庭園などを歩く。いい加減疲れているので紅葉を見てもあまり心が安らがない。もったいないなあ。土産物屋で妻から言い付かったご当地キティストラップを購入。こういう嫌な商売には協力したくないのだが。
その後思い出してぶらくり丁へ行き、中古CD屋2軒をまわる。約2年ぶりか、それにしてはよく覚えているものだ。前回買い逃した喫茶ロックはもう残っていなかった。当たり前だけど。収穫はないまま和歌山駅に戻る。帰途りんくうに寄ろうかどうしようかと思っていたが、疲れているのと先日三田にいったばかりなので止める。また次の機会に。それに、日根野からりんくうに入ると極端に運賃が高くなるので、途中立ち寄るという感覚があまりなくなってしまう。まあ無理はしないほうがいい。
快速は停車駅がたくさんあり安眠はできないが贅沢はいえない。夜帰宅、早めに就寝のつもりだったが結局2時まで起きていた。