怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

ある暗闇

妻とカルフールに買い物に出かける。
カルフールの向かいにあるホームズにも寄る。妻が家具などを見ている間、エレベーター前のベンチに腰掛けていたのだが、向かいのベンチに座っていた母子に目を奪われた。
幼稚園児くらいの女の子がカートに腰掛けているのだが、ベンチに座った母親が、女の子が少し動くたびに口汚く叱りつける。言うように他の客に迷惑でない事もないのだが、叱っている理由は明らかに躾ではなく叱りたいからだ。ストレスを発散する名目にすぎないのだ。女の子の脛を見ると小さな痣がいくつもついている。幼い子だから少しは怪我する事もあるだろう。でもあれは。母親はなにやらクーポン券を切り離している。どう見てもホームセンターの店内ですることではない。
その後妻と同じ場所に戻ったら母子の姿は無かった。
母親の身なりは貧しかった。ボロボロではないが、しかし生活に余裕が無い事は一目でわかる。女の子にも「おもちゃなんて」「一人っ子違う」などとヒステリックに言っていたから間違いないだろう。このあたりには歴史的に貧しい地区もある。やっとこさ成り立つ程度の暮らし、娯楽はなく溜まる一方のストレスは歪んだ形で発散される他はない。児童虐待と言えばそれまでだろう。自分の子供を虐め殺した親の記事を新聞で読むたびに苦しんで亡くなった子供に胸を痛める。だが、単純に犯罪を犯した親を非難して片付ける事の出来ない現実を私は今目の前に見たのだ。 どうすれば? どうすることもできない。 ただ、一つの光景を胸の奥にしっかりと抱いていくことはできる。 それだけだ。