怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

日本はここまで堕ちた

午前、本の返却のため図書館に。
来週旅行を控えているため何も借りないつもりだったが、妻はどうも借りたい本があるらしい。私もたまたま「蹴りたい背中」があったので借りることにした。妻が借りたのは山田悠介「ライヴ」。どうやらどこかでこの作家の評判がいいと聞いたらしい。
蹴りたい背中」は、たしかにうまい。若い作家にありがちな、というかこれしかないというくらいありふれたテーマではあるが、言葉の選び方といい文章の組み立てといい、脇役といい、お見事。副主人公の「にな川」をあえて「蜷川」と書かないあたりは並の作家ではない。
山田悠介「ライヴ」は、最初の数ページを読んでわき上がった嫌な予感が消えること無く、それどころか増幅されて終わった。翻訳家の文章を添削したくなることは時々あるが、日本人の作家の文章を添削したくなったのは初めてだ。中学生の作文のような表現、稚拙なアイディア、幼稚な組み立て、どこにもプロと言えるところがない。粗雑に書きなぐっただけの体言止め、工夫のかけらも無く多用される「‥‥‥」。いったいこの作家は推敲をしたことがあるのだろうか。編集者は仕事をする気がないのか。
もちろん作品には出来不出来というものがある。不出来な作品をもって作家を非難するのは慎むべきだろう。だが、もしこの作品が特に不出来であったとして、上出来の作品に期待できる訳ではないのは明らかだ。
しかし、どうやらこの作家売れているらしい。中高生に売れているとしても嘆かわしい知的水準の低下というべきであろう。