怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

グッバイ

暑さで夜中目が覚め、熟睡できなかった。ホテルに泊まるとよくあることだ。枕が低すぎるのも原因の一つかもしれない。
熟睡できない分起きるのは遅く、部屋を出たのは9時過ぎだった。名古屋モーニングを考えてもいたのだが、よく考えるとただほんの少しだけお得だという程度の事でしかない。だいたい、のんびり喫茶店で座っているよりは街を歩きたい。天気は快晴、春の陽気は心地よく桜は満開だ。
市政資料館というのが一応観光名所ではあるようなのだが、それよりもその向かいにある連棟式住宅の方に目が向く。似たようなものはあちこちにあるが、状態はそこそこいいいのと、何より市政資料館との対比が面白い。
10分ほど歩いて白壁地区に到着。大森家住宅や豊田家門などはまぁ悪くはないが、特別優れているというほどではない。しかし広壮な住宅が並んでいる様子は品格があるし、しかも自動販売機は影も形も無い。朝食代わりに缶ジュースでも、と思っていたが、そういう下品なものを置いてはいないのだ。
名所とはされていないようだが、目を引いたのは橦木町マンションという建物。3棟で構成されている少し古いマンションだが、窓の上方に珍しい日よけが設えられ、建物の脇には落下物防止柵のようなものがついているのだが、初めて見る種類の造りである。
旧豊田佐助邸は今日木曜日のみの公開という事で、当然入ってみる。時間は10時過ぎ、まだ開けたばかりなので来館者は私が初めてのようだ。一人でのんびり見るのもいいかと思っていたが、ボランティアさんがついていろいろ説明してくれる。いたずらや破損防止でもあるのだろうが、しかしこの説明はなかなか面白い。ほかにも数人の方が説明されていたようだが、私についてくれた人が声も大きくわかりやすい。建物は現代風の和洋折衷、ところどころ凝った造りはあるが基本的には上等の住宅である。しかし上等というのはいいもので、それはそれで見る価値があるというものだ。ホテルに戻る前にバナナレコード栄店を再訪、ゆらゆら帝国「Sweet Spot(初回版ステッカー付き)」2105円、SAKANA「LOCOMOTION」1475円を購入。割引券を使うとき、住所やアンケートを書かされるのだが、さすがに大阪の住所は気恥ずかしかったが、他に書きようが無いので仕方なく書く。こういう客は他に何人いるだろう。
インターネット特典でチェクアウトは12時までにすればいいということで結局11時半過ぎの出発。冷蔵庫が使えたのは助かった。
地下鉄で覚王山に向かい、梅花堂で鬼まんじゅう6個720円を購入。買ってみると結構大きい。4つでもよかったかと思ったが、わからなかったのだから仕方ない。寺社見物、正確には参道見物も考えたが、この後の予定もあるので断念しすぐ地下鉄に戻る。地下鉄の駅構内は大阪に比べ少し狭くて暗い。東京の地下鉄の雰囲気に似ている。朝ジンジャーエールを飲んだきりなので少し空腹でもあり、また鬼まんじゅうはできたてが美味しいということなので包みを破って一つ食す。うーん、美味しいけれども、わざわざ買いにくるほどではないかな、というのが正直な感想。
東別院で降り、あるいてうな富士へ向かう。結構遠い。道はやけに広く、人通りは少ない。歩いて楽しいところではない。途中、「サンチン」という中華料理屋を見かける。当然餐庁という意味かと思ったが、珍珍珍と書いてある。なんとなく美味そうな雰囲気はあるが、うなぎをやめる気はさらさらなく、15分ほど歩いてうな富士に到着。
店は結構な盛況で、席はほとんど埋まっている。一人だからピークの時間を外していたつもりだったが、正解と言うべきか関係なかったのか、ともかく開いているのは4人がけの座敷だったのでそこに通される。ひつまぶし2300円を注文。一番安いうな丼は1800円であった。隣の席の男性二人組の片方がうなぎ好きらしく、うなぎへの情熱を延々語っている。そういう人が来るくらいだから、不味いはずは無かろうと思っているうちにひつまぶしが運ばれてきた。昼時は前もってさばいてあるのだろう。ご飯のうえに小さくきったうなぎがびっしりと乗っている。見た目からしていい。うなぎはやわらかく、そして皮目がパリッと香ばしく焼けている。美味い。これは文句なしだろう。2杯目は薬味で食べるという事だが、これは別にどうという事も無い。しかし3杯目の茶漬け(というより出汁漬け)はこれまた美味い。こんな便利の悪そうな場所でこれだけ客が入っているのは伊達ではない。もう1時を回っているのにまだ客が来て満席状態である。一人で4人がけを占領している申し訳なさから早々に出る。もうすこしゆっくり食べたかったが、しかし満足である。
歩いて金山に向かうが、ここで恒例の道尋ねに出くわす。金山への道を訊かれたので役にはたてたが、なぜこうも道を訊かれるのか。しかも地元以外で。
金山ではまずアスナル金山でバナナレコードへ。収穫なし。アスナル金山は最近出来た商業ビルのようだが、マークがちょっと変わっている。「明日なる!」という文字を丸でかこって図案化しているのだが、思いついても普通絶対にこんなことやらない。名古屋は恐ろしいところである。
名古屋ボストン美術館で「花鳥画の煌き」を鑑賞。地下鉄一日切符割引で1200円が1000円である。しかし、今日は5Fは展示替えで休み。そっちは別に目当てではないが、しかし少しくらい安くしてもいいのではないだろうか。展示内容は、量は少ないが多すぎるのも閉口するのでこれはいいだろう。質はさすがに素晴らしいものだったが、しかしボストンにこれほどの東洋の名品があるというのも面白い話ではない。
金山でもう1軒中古CD屋に寄るが、新品もずいぶん混ざっているし疲れで結局ろくに見れないので、すぐに出る。また地下鉄で上前津に行き、大須をうろつく。金山で行ったのと同系列らしい店はすぐに出て、バナナレコード大須店へ。喫茶ロックキング編1370円。100円引き券がまた役に立ってくれた。名古屋5枚目の収穫である。
大須は元はと言えば門前町なのだろうが、今は若者向けの店と昔ながらの帽子屋や食堂が混じりあう一風変わったところである。どちらもそれなりに商売が成り立っているようでお年寄りと若者が同じアーケードの下を歩く光景は多分ここでしか見られないのではないだろうか。大須観音では子供が鳩に餌をやり腕に何羽も腕にとまらせていた。大須のはずれでエレクトリックレディランドを発見。チラシ等でよく目にするライブハウスだ。その近くにグレイテストヒッツという中古CD屋があった。一見今風のしゃれた店に見え、入り口付近ではDJのミックスCDを売っているが棚をよくよく見ると結構古いものなども並んでいる。しかも価格設定が安い。bloodthirsty butchersの「ルークウォーム・ウィンド」が特価品扱いで525円は破格だろう。探し物がないので何も買わなかったが、人通りの少ないところに店を構えるだけのことはある、穴場だ。
そうこうしている間にもう5時。ひつまぶしの余韻で空腹さはないのできし仙できしめんというのも頭をよぎったが、結局角屋へ。壊れかかったような店構えに大きな暖簾、薄暗い中におっちゃんの姿が覗く。どうみても入りやすい雰囲気は無いが勢いで入る。砂肝と鶏玉(つくね)、とん(だるむ)を注文。おっちゃんが間違えたのかまず肝を持ってくるが有り難くいただく。美味い。大ぶりの肝がミディアムレアにタレ焼きされ、肝のうまみがしみてくる。鶏玉は普通だがとんは久しぶり。昔好きだったのだが、置いてないところが多いのだ。タレの旨味が一番出るのがこのとんだと思う。砂肝は塩焼きでコリッとしつつも生の感触を残した絶妙の焼き加減。調子に乗って心臓も注文。これも美味い。5種類10本、1本100円とビール500円で1500円。30分もいなかったろう、さっと食ってさっと出る。こういうのもいい。酩酊しつつ名古屋駅に向かい、お土産に世界の山ちゃんに立ち寄って1人前購入。390円。18;30の近鉄特急で帰阪。降り際上着を席に置き忘れ時間を無駄にする。酔いがまだ残っていたか。
お土産は好評。ほっとする。