怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

今そこにいるもうひとりの自分

仕事柄あちこちの不動産を見て回る。
今日見たところは裏手に古い木造アパートがあった。
2階建てで築数十年、年代物である。
こういうアパートを見ながら、私は自分がそのアパートに住むことを夢想してしまう。
そう、なぜか私は古い崩れそうなアパートが好きなのだ。

木の窓枠、錆び付いた郵便受け、模様の入ったガラス、屋根に並ぶたくさんのアンテナ。
家賃が安いだけが取り柄のこんなアパートのいったいどこがいいというのか。
今の暮らしとどれだけかけ離れていることか。
それなのに、私はそのアパートの一室で一人ひっそりと暮らす様子を思い浮かべるのだ。

本当にそのアパートに住むことに、今の私が耐えられるのか。
あり得ないと思いながらも、本当の自分はそこに住む自分なのだと思っていたりもする。

人間はいつか収まるべきところに収まるものなのだろうか。