怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

風呂に入って支度して出発。まあ慣れたもんです。
東京駅でお土産のプレスバターサンドを買うべく、開店前に店に着いたらすでに列。そこまでのものか?という疑問は東京ですからという自問自答で氷解。しかし困ったことに予定の列車は8時11分、時間がない。大丈夫なのか。
なんとか順番が来てさっさと注文しお金を払い、ダッシュでコインロッカーに荷物を入れる。急いでるから硬貨を落としたりする。もう無理かと思いつつも必死で地下深くのホームに向かったところ、なんとかセーフ。ヒヤヒヤさせやがって。乗り間違いでもないことを確認し、そのまま千葉へ。
千葉県は初めてではないが千葉市は初めて。なんか駅は大きいし人も多い。にもかかわらず圧倒的な田舎感があり、実にダサい。コンプレックスにまみれた街といった印象だ。街歩きを兼ねてぶらぶら美術館方面へ向かう。途中の喫茶店でモーニングという予定だったのだが、ない。全くない。もともと喫茶店が少ないうえに、休みなのか閉店したのか、あってもシャッターが下りている。とにかくモーニングが食べられない。まさか千葉まで来てチェーン店は屈辱だし、だったら宿で食べてもよかったのに、結局千葉県お土産サンマルクカフェに入ってしまった。あーあ。
お姉さんに金額間違いを指摘して2階で食べたりするが、パン1個で足りるわけがない。昨日はロースカツ食べてるんだから。
悲しい気持ちになってたらいつの間にか10時前になり、すぐ近くのはずの千葉市美術館へ。
小沢剛「不完全 パラレルな美術史」展だが、行ってみるとどうも区役所ビルの中に入ってるようだ。これは雲行きがあやしい。
まさしくオフィスビルそのものの空間に小沢剛作品が点在する。雰囲気の出ないことおびただしい。
展示の柱になっているのは、石膏像や金沢八景などの大型インスタレーション作品で、これらも小沢剛の作家性を示しているのは認めるにせよ、その魅力を最大限発揮しているのかといえばそうは思えない。この作家の大規模個展なら、ベジタブル・ウェポンや地蔵建立は必須だろうと思うし、実際ショップには並んでいる。それがなぜこんな構成になっているのか。個人的には醤油画をまとめて見ることができ、インスタレーションでも体験できたのと、あとはなすび画廊もたくさん見れたので、そこはOKなのだが、全体としては満足感は薄い。まあ近場ならともかく、限りある東京遠征の中で移動時間をかけてまで見るべきものでもなかったかなと。千葉の街も空襲で焼けたんだかなんだか、魅力ある街区にも巡り合わなかったし。
駅前の巨大ビル・塚本總業ビルをざっくり探訪して千葉駅へ。千葉にはろくな飲食店もないので駅で何か買うことにし、目に付いたのがmarondoというパン屋。適当にシャウエッセンと塩パンを買ったら、この塩パンが大当たり。ほどよい塩加減と焼け具合、千葉の逸品と言える。千葉唯一の思い出になった。
JRで有楽町へ行き、まずPOLAアネックス。こちらは思ってたのと少々違ったのですぐ退散。続いて銀座メゾンエルメスフォーラムで中谷芙二子+宇吉郎「Greenland」。作品はいくつかあるのだが、目玉は霧の彫刻。もちろん時間は合わせて来た。誰もポンチョを着ないなか、完全装備の僕は近くに寄る気満々だったが、インスタ用の写真の邪魔になることを察知してそこは気を使った。大人ですし。
霧の彫刻はこれまで永く各地で展示されてきたものらしいが、こうしたビル内では珍しいだろう。外光がガラス越しに柔らかく降り注ぐエルメスならではの面白さがあった。ポンチョはどこの製品かわからないようタグが切り取られていたが、受け取りに来たお姉様に「いいポンチョですね」と変なことを言ってしまった。「
表参道に出て、hpgrpギャラリーで「三諦円融」展。示さfeebee、 加藤美紀、宮岡貴泉の三人展で、これが思った以上にいい。びっくりした。ただ、作家さんが在廊しているので、どうも好きなようには見れない。自意識過剰かもしれないが、見れない。三人とも技量が高いのは言うまでもないとして、feebeeの日本画を基礎に据えながら非常に現代的で華やかで、しかし画面全体のバランスが取れて落ち着きのある構図は特に惹かれた。宮岡貴泉のユーモラスな陶芸もなかなか好き。
RAT HOLE GALLERYでRONI HORN「The Selected Gifts」。誰かからの贈り物(というより、貰ったものと訳したほうがよさそう)を淡々と実物大に記録した写真で、もともと淡々としたこのギャラリーにとけ込んでいる。自分に贈られたという共通点しかわからず、誰がどんなシチュエーションで贈ったのかは想像するのも難しい。しかし、人間とは、結局あまたの誰かとの関係性で規定され、存在が確認されるものではないだろうか。その関係性のわからなさを示すことで自分自身というものを透明な形で浮かび上がらせた作品だと思う。
ワタリウムで「Mike Kelly DAY IS DONE」展。わかるようでさっぱりわからないままここまで来てしまったマイク・ケリー。中に入ってみても、「DAY IS DONE」を何本見ても、まあわからない。しかしこういうのはある瞬間に突然閃いたりするものだ。くどくどしく偏執的なこの作品群は、実にマイク・ケリー個人にこそ由来する。いちおうそれなりに社会生活を送っているものの、常に社会と自分自身との間に大きな距離を感じ続けているマイク・ケリーが、その心情をただひたすら独善的に殴り描いたのが彼の作品なのではないだろうか。その在り方は、いわばアウトサイダー・アートのそれによく似ている。彼がアートとして認められ評価されることを意図してなかったわけではもちろんないが、しかしそれ以上に彼の孤独や疎外感や怨嗟を露悪的なほどに示すことに彼は固執したのではないだろうか。集められた大量の映像作品を全て見ることよりも、その天啓を得られたことのほうがもっと重要だ。
駒込倉庫は諦めて、神楽坂界隈のギャラリーを初訪問。特にwaitingroomは恵比寿時代に大好きだったので楽しみにしていた。
移転後の今は、は元質屋という場所は珍しいが、モノは普通のホワイトキューブで少し残念だが、三宅砂織作品はここでも楽しめた。DOMANIの招待券、ここやユカ・ツルノは大盤振る舞いだったが、そうでもないギャラリーもたぶんあるだろう。こことのや
Maki Fine Arts末永史尚「サーチリザルト」はパッと見では作家ごとののざっくりした作品イメージを集積しただけのように見えるが、それが画像検索の結果画面であることが得心できたところから、作品のイメージが語りかける作家像が浮かび上がり、ちょっと面白い。作家れ、
復活のsproutものぞいてぶらぶらと歩く。時間に余裕がある、というほどのものではないが、急がなくて済む程度ではあり、初めての街の夕方のを楽しむことができる。どうということもない町並みだが、やはりこのくらいの余裕がないといけないんだと実感する。
駅に着くころには夜。これもよい。
中野に到着。かつて新代田にあり、奇妙くんのライブを見る前によく寄ったピピカレーが突然閉店したのち、ここで復活してると知ったので、そのトリコカレーが中野での夕食と決めていたのだったその来てみたのだった。そのちいまはしてしまってトリコカレーは18時からと信じ込んで向かったのだが実際には18時半で途方に暮れた。間違いは往々にしてあるにせよ、だったらディスクユニオンをのぞいてから行けばちょうどよかった。
というのも、開店を待つ時間にディスクユニオンに行ったらちょうど悩みどころのCDがあり、時間に追われたためにまともな判断ができず、買い逃す結果になったから。それほど悔やむものでもないけど、無駄足だけならでなく、準備不足の影響はおそろしいな。でも言い出したらきりがない。いつものとこにいつも通りに行くわけじゃないから、そんなことだってある。そりゃ。
トリコカレーに戻り、待望のピピカレー。以前よりは少し狭くなった気はするが、がする。店内はきれいだが、圧迫感のせいか、雰囲気はだいぶ重い。カレーの味は同じもちろん同じ。量が多いのも変わらない。以前はそれでも難なく平らげていたが、今はちょっと苦労する。。そういうものだ。美味しかったが、たしか昔は900円とかそこらだったはずで、1200円出してまで延々歩いて来るのは何かしらの理由、つまりつまり思い出がないと無理だろう。いつか妻も食べたいと言えば一緒に来よう。一人ならもうこれで十分だ。宿題は終わった。
ここからheavy sick ZEROヘビーシック・ゼロはかなり遠く、重い腹を抱えて道を急ぐ。行ったことはあるから迷わず到着。中に入ると、さすがに客は多い。地下2階はDJなのだが、こちらはほぼ捨てて地下1階のライブに絞る。それで十分。
最初がPhew。たぶん3回目くらいになる、声を利用した幻惑的なライブパフォーマンス。ノイズとも言えるしアンビエントとも言えるし、し、ジャンルは特定できない。あえて言うなら「詩」だろう。声と言葉で綴る、魔法である。Pphewさんは魔女なのだから当然のことだ。
2番目がレコ発のマヒトゥ・ザ・ピ---ZZZ×Ultrafog。名義を変えてる以上、単なるソロではないのだろうと思っていたが、確かにソロの音とは全然違う。ノイズ・アンビエント方面へ大きくアプローチした、全くの別物で、悪くない。悪くないが、あれもやりこれもやりというタイプのアーティストによくあるものからは抜け出ていないように思える。やりたくてやってるのはよくわかるが、それは本人の一部にすぎない。全部をそこにぶち込んでいる人たちとは違う。そのことも痛感する。、マヒト・ザ・ピーポー
灰野敬二×KILLER-BONG。あまりにも混み合うフロアに辟易していたが、辛うじて椅子に座れたのはラッキーだった。どうせステージはほとんど見れないし、伸びあがれば少し見える。だが、できたらこれは見ておきたかった。もう少し広くてステージの高い会場ならよかったのだが、なぜこんなところで。こんなところだからこそこのチケット価格なんだろうが、高くなってもいいからさあ。
しかし、これは音だけでも物凄いものだった。いつものエフェクターやインスツルメントのほか、メタルパーカッションを叩き叫ぶ灰野さん。KILLER-BONGのトラックとの応酬。これはコラボとかユニットとかそういう生易しいものではなく、野生動物の生死を賭けた闘いだ。威嚇し雄叫びをあげ、殴られては殴り返す。荒々しく命をやり取りする二人。こんな凄いものが2500円で見れるのか。いいのか。
ただ一つ、気になるのは時間だけだったが、幸いなことに転換を十分取っているから灰野さんはオンスタート。つまり終演予定時間通りに終演になった。これは助かる。もちろん少しでも長く見ていたいものではあったけれども、途中退出はしたくないライブだったから、時間を気にせずに見れたのはうれしい。急ぐ必要もなく、ゆっくりヘビーシックを出て中野駅へ。中野ももう少しぶらっとしたいのは山々だが、走らずのんびり歩けるだけでもありがたい。
予定より早い電車で東京駅に向かい、その分落ち着いて支度をしてバス停へ。日曜の夜なのに少し席は空いてるようだ。ピピカレーのはまだ腹にたまっていて、おかげで早々に眠ることができた。炭水化物は優秀な導眠剤だ。