怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

帰宅してパンと肉を焼いて簡単な夕食を済ませてから今里へ。
今里には昔の取引先があり、本社ビルには何度も行った。そのビルは今はなくなってて新しいビルが建設中だ。
若い社長は自信満々で鼻持ちならないかと思ったが、何度も会ううちに結構誠実でいい人だとわかってきた。
やがていつからか社員の姿がまばらになった。元気のあったオフィスには荒れた雰囲気が漂うようになった。そうこうするうち、まずいところから金を借りたのも薄々わかった。分かってれば止めたのに。そんなことしたってどうにもならないのに。
僕は覚悟していたけど、その後その会社は破産した。社長個人は破産しなかった。弁護士に聞いたら、社長個人は破産はさせてもらえない、一生かけてでも彼らに払うしかないようだという話だった。もちろん勝手に破産しようとすればできないわけではないんだろうけど、そんなことをしたらどうなるのか。そういう話だったんだろう。
奥さんは三人目が生まれたばかりで、最初に会ったときはこれまたセレブ風を吹かせていたが、最後に会ったときはスッピンで借金取りへの応対ですっかり疲れきっていた。怯えた目で、夫の行方はわからないとだけ言っていた。
社長がその後どうなったかはわからない。どんな苦労をしていても、一家でなんとか暮らせていればいいんだけど。今は目の前にない、あのビルを思い出しながらそんなことを考えた。
という感傷にひたりながら、バー・コンティニューへ。バーといいつつも一杯飲み屋の雰囲気があって、結構繁盛しているようだ。
ここで座敷くんの歌は少々しんどいなと思いつつ、ライブが始まるまで座敷くんと話をする。
一番目の歌い手は僕は全く興味がないけれども場所の雰囲気にはよく合っていて、なかなかの盛り上がりで座敷くんがますます難しいことに。
結局のところ、居酒屋の余興みたいな感じでのライブだから、そこで座敷くんはどうしたって無理がある。それでも聞いてくれる人は聞いてくれるんだけど、聞く気の全くないひともいて、そういう人らはカウンターのほうに移動すりゃいいのに、目の前で延々歓談するから図太いよなあ。人間扱いしてないよなあ。
僕もライブを聞かないということは何度もあって、それはそのライブを聞いた結果としてそうしてるわけで、失礼かといえば失礼だろうけど、でもそれは客として選び取った結果なわけで。なんかなあ。
座敷くんもずいぶん辛そうで、もう帰るんじゃないかとさえ思ったけど、最後まで。
僕は辛かったので終わってすぐ帰りました。もう来ることはないと思う。
ただ、あとで聞いたんだけど、この投げ銭ライブで1万円入れてくれたお客さんがいたらしく、あんな状況でも座敷くんの歌を聞いて心が揺れたその証だと思うと、そのことだけは本当にうれしい。座敷くんの歌にはその力がある。あの場で客に1万円を入れたくさせるライブは、並みのミュージシャンでは絶対にできない。
ざわつく心で自転車をこいで帰った。