怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

14の夕べ No Collective

神保町で下車。古本屋が多く集まる街なので、14の夕べ開演まで見て歩くつもりが、閉店準備に入っている店が多くてあてが外れる。そういうものか。いくつか開いている店に入ってみると、専門性の高い店はずいぶん強気の値付けだったりするが、ここに来ればあるはずという強みなのだろうな。そしてそういうお客さん相手でやっていけると。そうこうしているうちに角の近くに芳賀書店というお店を発見。僕が昔ここに来た時、ほかの古本屋と同じようなものと思い込みながらも、自動ドアが色ガラスなのを不審に感じて入ったあとでエロ本専門店だと知りどぎまぎしながら慌てて出た店だ。あのとき一番印象に残ったのは、明らかに入ってはいけないはずの中学生だか高校生なのに誰も何も言わなかったことだった。本を品定めするのでそれどころではなかったのかもしれないが、注意されないということが僕の世界ではありえないことだった。この店、まだあったんだなあ。
北に移動し、ぶん華という店でぶん華ランチ。炒飯にチンジャオロースを添えたものだが、はっきり言ってうまくはない。ていうか、客は僕だけ。完全にやる気のない雰囲気。まあこういう経験もいいでしょう。
歩いて国立近代美術館へ。歩く人はほとんどなく、うらさびしい雰囲気だ。
入るとラウンジでは米子さんらがノイズ演奏中。いい感じだ。
時間が来て中に入る。今日はNo Collective「Concertos No.4」ということで、主催は中井悠という人らしいのだが、出演に杉原尚樹、豊田奈千甫、水内義人、米子匡司という名前が。そう、floatだ。SHCだ。東京に来てこの顔触れを見れるとは思わなかったよ。中に入ると水内さんの姿もあり、何をやるのかわからないながらとりあえず水内さんの近くに陣取る。と思ったらどっかに行ってしまった。壁には89.0MHzのFMラジオが設置され、早回しのギリギリ聞き取れない声が流れている。場内が暗転し、入場時に手に貼られたシールが蓄光だとわかる。何が何だかよくわからないが、人が歩きまわったりライトを照らしたり、音が鳴ったり。出演者がやっているのか客がやっているのか、話声はアクトとしてなのか私語なのか。区別はまったくつかない。影が近寄ってきて無言で袖に鳥のおもちゃをつけて去っていく。柱に寄り添っていたら壁際に誘導される。固いボールを蹴って遊んでいるので参加してみる。そのうち広い会場の一角に誘導され、そこから退場する。終了。
何が何だかわからないといえばそれまでだが、考えてみればわからない時間なんて生きていてそうそう体験することがない。その意図的なわからなさ、先の見えなさ、不安、何もかもが新鮮な体験だ。怒る人もいるかもしれないが、僕はすごく楽しかった。袖の鳥は付けたまま帰り、時々ピヨピヨと鳴いて人目を引いた。それもNo Collective「Concertos No.4」の一部だと思う。