怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

不思議

五条通をずっと西に行ったところに、昔法務局があった。といっても、そこにはJR丹波口から行くのが常で、寄り道するといったら島原の遊郭跡くらいのものだった。今となったら、もっと見ておけばよかったと思うが、法務局がなくなってしまったので行くこともない。遊郭があったわけだから、近辺にはお寺もある。古い町が広がっている。住宅地の格としては低いように言われるが、面白く歩ける土地でもある。
お寺が並んでいるあたりに狭い道がある。狭い道は面白いそぞろ歩きにはもってこいで、時間さえあれば入ってみたくなる。住んでいる人にとっては不審人物なのだろうが。
そんな道を入っていくと、両側に長屋が並んでいる。道幅は存外広い。長屋は、つくりは古いが綺麗に改修されている。建て替えたのかもしれない。こうした長屋は、取り壊すのが当たり前になっていて、改修することはほとんどないのに珍しいものだと思っていたら、その謎はあとで解けることになった。
出口近く(入り口近く、といったほうがいいかもしれない)にエンゲルスガールという看板の出たお店がある。コーヒー300円などとあるから喫茶店のようでもあるが、その上に中古レコードなどとも書いてあり、中を見るとCDやレコードが並んでいる。その奥のテーブルでは3人おしゃべりをしている。喫茶の客というよりは店の人のような雰囲気だ。非常に入りづらい。というか、営業中かどうかも定かではない。しかしこんなところにそう何度も来るはずがなく、今入らないと後悔するので、思い切ってドアを滑らせると、即いらっしゃいの声が聞こえた。いいタイミングだ。ほっとして中に入ると、やはりご主人らしい人が出てきた。どうぞどうぞということでCDなどを見せてもらう。60〜70年代あたりの定番ロックもののほか、同時代に活躍した日本のミュージシャンのものも多い。いささかアングラめいたものも多く、Live!Laugh!なんて珍しいものもある。大島保克などもある。品揃えが充実しているわけではないが、特徴のある店だ。奥の二人はミュージシャンらしく、打ち合わせをやっているようだ。一通り見終わり、今日のところは特に何もないので帰ろうとしたら、ご主人(ゲシさんというらしい)がアイスコーヒーを勧めてきたので、遠慮なくいただき、立ち話となる。
曰く、ゲシさんは2時(くらい)までバイトをしてその後に店を開けるので、都合により開店時間は変わる、日曜はだいたい時間通り、置いてある物は自分のもので買い取りはしてない、自分のために店を出していて趣味のようなもの、Live!Laugh!の某さんと旧友で、ということは樋野展子さんあたりも知り合いなんだろか、2Fで時々ちっちゃいライブをやります、このあたりは大家さんの息子が造形大出なので3年くらいかけて自分で改修した、等々。
ある意味非常に贅沢な、うらやましい生活である。トークのつぼも心得ていて、初対面なのにうまく話してくれる。こういうのはほんと、天性の才能だよなあ、と思う。
このあとまだ仕事もあるので失礼したが、またいつか行ってみたいと思わせるお店だった。京都には、こういう風変わりなお店があるんだな。

そのほかの収穫。
ブックオフ五条店にてSAKEROCK「Life Cycle」1950円(!)、poco a pocoにてD'Angelo「VooDoo」693円、mama!milk「Lamb and mutton」1470円、ART ROCK No.1にてBonnie Prince Billy「Superwolf」1000円、小沢健二「刹那」1000円、水瓶「饗宴」1500円(Lamb and muttonが1000円・・・大ショック)、TORADORAにてふちがみとふなと「バブの店さき」1200円。
どの店も素晴らしい。