怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

マヤカン再び

妻がツーリングに行くというので、これ幸いに原付を借りて摩耶山のふもとへ。なんと1時間もかかった。こんなに時間がかかるとは思っていなくて、麓まで原付で行けば楽だろうという予想はひっくり返されて。登ったらやっぱりきつい。一緒だ。休んで、水飲んで。新しい足跡がある。ロープのたるみ具合から、登っていってまだ降りてないと予想したとおり、中腹あたりで上から降りてきた。ほかに誰かいるのかいないのか。
着いたら、先日の台風の影響なのか、結構荒れた状況。入り口のバリケードは壊れてるし、中に枯葉やらが吹き込んでるし。こうして変わっていくのが廃墟のよさでもあり悪さでもありだが、どのくらいのころが一番いいんだろうか。ひとついえるのは、今日は昼前に着いたので、光線の具合がすごくよく、前には撮れなかったところもいっぱい撮れる。時期はいつがいいのかわからないけれども、時間を変えるのは正解だ。
今日は誰もいない。誰もいない廃墟に怖さを感じないのは、一度来た安心感からだろうか。
今日は彼女達はいない。いないことを確認することで、そこに彼女達はいる。彼女たちの残像を見ながら、ぼくは廃墟を歩く。
ぼくがもう一度摩耶観光ホテルに来ることがあるのかどうかわからない。もし来るとしたら、それは彼女達の幻影を見るために来るのだろう。
今日誰もいなかったのは幸運だった。もし誰かいたら、幻影にノイズが混じってしまうところだ。
今日の僕は、上階のホールに置かれたソファーに身をゆだね、柔らかな光に包まれて幻影と遊びながら幸福な時間を過ごしている。