怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

7時に起床、余裕をもってシャワーその他。司という喫茶店でモーニング。550円は結構なお値段だが、こんなものなのか。味は悪くないし、ミステリーマンみたいな主人もいい味出してるが、よく考えるとランチの一歩手前みたいな値段なわけで、もう少し安く済ませたいな。

国立新美術館「話しているのは誰? 現代美術に潜む文学」。ミヤギフトシと山城千佳子目当てで行ったが、とにかく小林エリカ「彼女たちは待っていた」が圧倒的。ひとつひとつのエピソードを作品として繋げ、展示室をまるごと生かし、丹念に紡がれた業火の物語。構成も心憎く、記憶に残るインスタレーションだった。小林エリカには、これまでイラストレーションの印象しか持っていなかったが、とんでもない間違いだった。

ミヤギフトシは、展示室の広さゆえにどうも間延びしてしまい、モニターの大きさや音量がうまくマッチしない。もっと小さく緊密な空間で生きる作家ということだろうか。さらに残念なのは、隣室の音が漏れてくること。ミヤギフトシの作品性には、そんなことが許されるわけがないのだが、まあ国立新美術館なんでね。

山城千佳子の今作は、正直期待外れ。あの不思議な力強さ、魔術性が失われているように思う。途中、沖縄乗馬クラブのモチーフが出てきたのはちょっと笑ったが、どういう意図だろうか。

表参道へ移動、ヴィトンのボルタンスキーを再見。真昼間だが曇天なので光の射し具合はドンピシャ。にしても、豪奢なビルで黒服に見つめらてというのは、どこか居心地悪い。

GYREアウトサイダーアート展は、まあ予想はしてたがどうもズレてる。値段は付いてるが買いたくなるようなものはわずかで、そのすべてが非売だったのは僕の目が肥えている証左だと思いたい。

スペースAM荒木経惟「四面哀歌」。機会さえあれば見るようにしている荒木だが、このところの作品は生気がなくどこか希薄なものに見える。歳のせいとは言いたくないが、そういうことなのだろうか。

blum&poeを見てから延々と歩き、初訪問のKUBOTA MAHO galleryで武田鉄平。遠くから見ると塊状に垂らした絵具を荒々しく延ばしたように見えるが、寄って見るとそうではない。薄い絵具で丹念に形作っている。これはおそらく塊状に垂らして描いたものをいくつか制作し、そのひとつを選んで対象にし、新たに描き起こしているのだろうと思う。もしかしたら、一度写真にしてから描いているかもしれない。この制作法にどういった意図があるのかわからないが、実際に魅力があって9点とも売れているのだから大成功だろう。

EUKARYOTEで品川はるなほか。ここは階段がしんどくてかなわんわ。

フルクサスといえばのギャラリー360°小杉武久

agnes.bギャラリーで川内倫子。自分の娘を写した作品は、従来とははっきり違う作風になっている。何処かの誰かの上にある空気を写したものではなく、そこにいる特定の人物への愛情としての写真だ。

地下では別の写真展をやってますよという、スタッフと常連客との会話を小耳に挟み、それどっかに掲示しといてくれよ見逃すだろと思いつつ下りたらHIROMIXだった。危なかった。展示スペースは店の片隅なので小規模だし僕などは肩身が狭いが、見たいんだからしょうがない。堪能した。川内倫子と同じく、アニエスとのコラボ企画ではあるのだが、作家の選定が妥当だから作品性は制約されておらず、この辺はさすがかな。

ラットホールギャラリーでガブリエル・オロスコ。今回のはちょっとわからなかった。

アキオナガサワで⼩島康敬、スパイラルで手塚愛子。手塚氏、なんか金持ちに好かれそうな作風だな。いや本人にも作品にも罪はないし好かれて悪いわけじゃないけどさ。

銀座に移動し、ギャラリー小柳で青柳龍太。こういうの好きなんだけど、ここまで崇高に「アート」になってしまうと、それはそれで違うんだよなという気持ち。買えない僕が言っても意味ないけどね。

日動コンテンポラリーで「東南アジアの現代美術」。

この辺で吉祥寺に移動。ライブには全然間に合うけど、どの程度吉祥寺のお店に行けるかどうかの問題。アートとライブと物欲と街歩きと、やりたいことは限りなくある。

とりあえずディスクユニオンで、ミツメ「ささやき」698円 、坂本慎太郎「幻とのつきあい方(初回)」1,148円 、余命百年「二十二世紀からの手紙」277円 、沖ちづる「わたしのこえ」751円 、コロボックルズ「小人狂想曲」311円 、ミッシング箱庭「ミッシング箱庭ベスト~こんばんわ宇宙人こんにちわ地球人~」801円 。ついつい買いすぎてしまうので意識してセーブしている。

結局、今回もよみた屋に行く時間はなく、でも少しだけはあるので古本センターへ。前はいつもかわいい女の子がバイトしてたけど、最近はご主人夫妻だけだな。

最後、通り道なのでバサラブックスにも一応行ったが、感じの悪さは相変わらずでした。

てくてくとNEPOへ。何度か自転車で通ったこの道、車はそこそこ通るのだが両側が公園なので雰囲気がいい。風がざわざわと木立を揺らす。街灯はあるが林の奥は暗い。いい道のりだ。駅から遠いといっても、この道なら。

やがてNEPO到着。なんだかオシャレで、とてもライブハウスには見えないというか、店頭に子供たちがたまってるなんて初めてだ。

カフェで受付だけど、リストバンドを付けられたりとか、なんかもう全てが未来形でベアーズの対極。僕はベアーズでいいです。でも、なんかおいしそうなビールとかいろんなフードとか、いつもと違う楽しみかたができそう。僕もちょっと高いビールとタコスを注文して、自分なりの贅沢感があった。

ライブは、pandagolff、おーたけ@じぇーむすfeat.山拓哉、竹田健太バンド、テコの原理、キライバンド。

おーたけ@じぇーむすが思った以上によかったのと、テコの原理はこのオシャレ箱とのミスマッチ感はあったもののやっぱりいいバンドだからね。もう1ついいバンドが出てたら満足度高かったんだけど。主催のキライ、最後にスイカを割っていて、割ったとたんにスイカの匂いが立ちこめたのはちょっと笑ってしまった。結構匂うんだな。一片もらって食べました。

帰りは玉川上水沿いを歩く。太宰が入水したあたりで立ち止まる。轟々と流れる水。静かな歩道。そういう、夜の思い出を得た。