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無料を逃す手はないので、朝から国立国際美術館へ。早めに着いてしまったが、なんと開館待ちの行列。お前らほんとタダが好きだな。
クリスチャン・ボルタンスキー展はもちろん前から楽しみにしてたので、僕はまあまあ張り切っているが、知らずに来ているお客さんももちろんいて、そういう会話を耳にするのも面白い。「有名なん?」「…そや!……多分な……」とか。
展示は庭園美術館でのがっかり展示とはうってかわって、満点の出来。本人が巡回各地で会場に合わせ設営するそうだが、年代順でもなく作品種別でもなく順路もなく迷路のように続いてゆく作品たちがとにかく圧倒的。言ってみれば、これは一つのインスタレーションである。これを見てると、そりゃ庭園美術館の展示室では無理だとわかる。平凡な家族写真から不穏さと歴史の記憶が想起されてしまう手際は、魔術的とさえ言える。
次は夜に行ってみたいな。
お昼は妻が買ってきたラーメン。まずまずだがスープが濃すぎなのはこちらで調整するべきだったんだろう。
京都へ。閉館するというARTZONEで最後の展示を見る。街中の気軽に入れるアートスペースは貴重だし、いい試みだったと思うのだが、まあお金はかかるよね。
今回は展示そのものというより、アートゾーンの歴史を振り返るといった趣旨があるようで、過去のフライヤーや資料が集められている。ここを訪れるといつもスタッフがいて案内だとか声かけしてくれてたのだが、ファイルを見るとオープンの手順だとか接客の注意事項だとか、その日のトピックだとかがいろいろ書かれている。「お客さん全然来ない」「変なおじさんが来ました注意」「上の音がうるさくて」などなど。あんまり考えたことなかったけど、お客さんがたくさんってことはなかったし、僕が変なおじさんてことはないだろうけど、まあそういう人もいただろうなとか。音はたしかにうるさいことも多かった。僕がそっちの客だったこともあったし。スタッフの方と少し話をして、最近完成したというリーフレットを1部頂いた。展示はずいぶん前なのだが、制作に結構時間がかかるものなのだな。でもこうしてアーカイブをまとめる作業は、学生の実習としても機能しているのだろう。労作を読ませていただくことにする。
長い間、本当にありがとうございました。
次に寄るのはお久しぶりのJET SET。今回は永見恵利のfirst demoを買うため。いちおう試聴して購入。ついでに最近小森さんがオススメしていたアート・ガーファンクルのファースト「Angel Clare」を500円で。
アローントコなんかにも寄ろうかな、でもお金がなあなんて思っていたが、実はもうそんなに時間がないのでそのままnanoへ。開演18時は早いが、その分帰りが楽になるから助かる。
最初がTHE BLACK DOLPHINS。この時間なのでなかなか厳しいんだけど、いつも通り精一杯のパフォーマンス。僕はキーボードが前に出てるときが好きだな。
次が壊れかけのテープレコーダーズ。ライブを見てると、昨日も行きたかったなとつくづく後悔する。2日続けて見る価値のあるライブなのに、こういう時に限って被ってるのは運がない。最近の曲が中心だけど、実際にはそういう感覚はなく、どんな曲も今の壊れかけの等身大となって載っているような印象がある。各メンバーのプレイも突出することなく、すべてバンドとしてのものに見える。圧倒的な35分だった。
加納良英ソロも京都で見るのは久しぶりか。
最後がドンマツオグループ。京都でドンマツオを見るのはたぶん初めてなのではっきりわからないが、このメンバーでもう何度もやってるんだろう。そのくらい練りこまれたグルーヴになっていて、ほとんどパーマネントなバンドと言える。特にドラムとベースのリズム隊がしっかりしてるのは大きい。こういう形態は、どうしてもご当地メンバーの即席セッションみたいなところがあるけど、ドンマツオのこの京都メンバーに関しては信頼して見に行ける。50歳って、全然ピンとこないね。若いとかそういうことじゃない。年齢とは無関係な人に見えるから、誕生日とかそういう感覚がない。特にプレゼントもないんだけど、ともかくおめでとう。これからもずっと音楽を続けてほしい。ぜひ。