怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

朝、仕事に出かける妻に起こされる。
昨日の弁当を食べて京都へ。車中、恐ろしいくらいに爆睡。風邪の影響だろう。おかげで三条で乗り換える予定が終点出町柳まで行ってしまった。折り返しの電車を待ってて気づいたが、順番を変更して出町柳から歩くコースにすれば無駄がない。いや最初からそれでよかった。というわけで出町柳から歩いてart space co-jinへ。今回は平野智之×平野智之「ぼくはふたりいるんだ」展。
どちらも知っているが、同姓同名の二人とは思ってなかったくらい感性は共通している。東京の美保さんシリーズは、主人公の施設のスタッフをモデルにしているのだけど、偏執的な感覚はなく、美保さんの感情への距離感が絶妙で、本当にモデルとして動かしているようだ。人形劇を見ているような感覚がある。シンプルで定型的な構図も効果があって面白い。
神戸のパワフルレンジャーシリーズも、お決まりのストーリーに印象的なワードを散りばめたセリフが抱腹絶倒。巧まざる面白さってこういうもんだろう。見に来てよかった。
続いてはmeditationsというコース。来てしまうと流れてる音楽が気になって買ってしまうからいけない。いや、買いに来てるんだけどさ。でもこういう買い方を自然に出来てしまう店というのは希少なので、今後も頑張ってほしい。人生も残り少なくなってきた。いい音楽だけを聞いて過ごしたい。RANDALL MCCLELLAN「THE HEALING MUSIC OF RAMA VOL.2」2,858円、Jun Fukamachi「Nicole ’86 Spring and Summer Collection」2.264円。買ってしまった。
ほんとレコード(または本とレコード)にも寄ってしまい、500円レコードを4枚。RC サクセション「OK」、The Nice「Nice」(White Vinyl)、MARVIN GAYE「I WANT YOU」、Gladys Knight & the pips「i fee a song」。割と掘り出し物だと思います。
そこからいよいよ京都国立近代美術館ゴッホ展。大行列だがチケット買ってたのが救いかなあ。待ち時間はそれほどでもなく、とはいえ大混雑必至の状況にうんざりする。最初に常設展。ゴッホに連動して森村泰昌の展示があったのと、あとは「泉」と毛利悠子の企画が見どころか。ここは現代美術も相当持ってるはずだけど、土地柄なのか日本画や工芸の比重が高くて困り者。たまにはそういうのを見るのも勉強と割り切ってるけど。
さて、おそるおそるゴッホ展に足を踏み入れると、並々ならぬ大混雑。なんじゃこれは。ゴッホはに大作はないし参考作品の浮世絵や資料類は近寄らないと見えないものなのに、この混雑。殺意すら湧いてくる。老人がなぜ日曜に来るのかも理解できない。来るなとは言わないが、せめて平日にしようとは思わないのか。
愚痴はともかく、ゴッホの作品については、いい作品がいくつか見れたらいいなという程度の気持ちで来たので、不満はない。抜群に良かったのが「ポプラ林の中の二人」。アメリカにあるこの作品はやけに横長のキャンバスに描かれている。中央やや右にポプラが生え、6:4に分割された画面の左側に男女の姿が見える。奥は暗い森、手前は青みがかったポプラ並木。
男女は紳士と寄り添う女で、二人の関係が恋人なのか夫婦なのかはわからない。距離の近さからして知人程度のものではないだろう。男はもちろんゴッホ本人であるとすると、女は空想の恋人なのだろうか。僕は、この女性は恋人というよりは看護人のような存在に見える。献身的にゴッホに尽くし支えてくれる、理想の女性。ゴッホはそういう存在に恵まれず、希求する気持ちが描かせたのがこの作品ではないだろうか。
横長のキャンバスで、人物は左側にいるから視線はほとんど左側にしか向かない。右側は無駄のように見える。しかし右側の4割を隠してしまうと、突然この絵が凡庸なものになる。ありふれた、つまらない情景だ。この絵を傑作にしているのは、色彩やタッチより、この異様な余白だろう。視点の行かない不必要な4割こそがこの作品を傑出したものにしている。
人ごみの中で名残惜しく何度も何度もこの絵を見て、ようやく会場を後にした。
わずかな時間をぬってARTZONEで今村源「パラパラパラ」展。これは正直言ってどういう意図でこの作品を制作したのか、わからなかったです。
ここでようやくバーガーキングでワッパーセットを食べる。適度に空いてるので居心地がいい。
時間を見計らってUrBANGUILDへ。
今日は久しぶりにははの気まぐれのライブ。MCによるとライブは母の日だけではないようなのだけど、まるで情報をつかんでなかった。
今回はツーマンなので1時間ほどの演奏。久しぶりといってもかなり調子は良く、音は全然荒れてない。練習もしてるんだろうけど、それだけが理由でもないと思う。メンバーはみんな結構な歳になり、物理的なものも含めて適度な距離があることがこのまとまりに繋がってるのだろうか。そしてロックキッズらしさを失わない若々しさ。今もボーダーで揃えてくる稚気は、このバンドに不可欠なものだと思う。そして今回の会場、アバンギルドもプラスに作用したと思う。拾得の落ち着きっぷりと比べて大きな音で攻められるこちらは、なかなか刺激的だ。頻度は年に1〜2回でいいから、ずっとずっと続けて欲しい。音源は、まあそこまで言うと欲張りになるかもしれないけど。
企画のsaunapartyはドクロズのオヤビンが在籍している模様。そういえばドクロズもなかなか見れてない。こちらは音があんまり好みではなかったけど、でもははきまを呼んでくれただけで充分ありがたい。
思ったほど遅くならず帰宅。