怠惰な日々

 *blogではありません。日記です。

延期になったがなんとか開催されたKyoto Graphieheへ。諸々延期になっているので、スケジュールが立て込んで忙しい。アート関係なんて比較的安全なイベントだというのに。

今年もKG+から。メイン会場の元淳風小学校は、会場が好きってのもあるから必ず行く。教室の風情が残ってるのもいいし、窓際にまだ植栽があるのもいい。特に今回は惹かれる作品が少なかったので、会場への印象が強かった。

早めの昼食代わりに、ブロックという変わった名前の喫茶店でモーニング。入ってみると名前の由来はすぐにわかった。店内はコンクリートブロックがふんだんに使われて、おしゃれというわけではないが印象深い。古くからの店かとも思ったが、店主はむしろ若くて感じのいい女性だった。こういう地味な店が好きだ。

あとは飛び飛びの会場を見れる分だけ拾うようにして進む。全部見るのは無理があるんだからある程度割り切るしかない。

印象に残ったのは、野口家住宅花洛庵でのマーガレット・ランシンク。無料がほとんどのKG+にあって300円かかるだけのことはあった。写真というよりコラージュに近い作品で、日本家屋とよく合っていた。

パスポートは高額だしどうせ全部は見ないので単発チケットでめぼしいところをまわった。

ウィン・シャは映画のスチール写真ではなく撮影前後のオフショットと本番の境界を撮影した作品で、役と本人が移り変わる瞬間を捉えていて印象的。こういう狙いは言われてみればなるほどだ。

2軒の町屋を解体再構築したマリアン・ティーウェンは予約制なので逆に見たくなったパターン。面白いといえば面白いが、ちょっとアトラクション的でもある。まあカップルが楽しむという面も強いのがこのキョートグラフィーなので、これはこれでいいのかな。

最終盤で見たのがメインアーティストになるんだろう、嶋臺ギャラリーの片山真理。自分の身体をデコレートし美しく強烈なインパクトで見せる作品。片山さんらしい美意識があって素晴らしい新作だった。旧作の展示もあったのと、エントランスに片山さんの落書きがあったりするのも楽しい。

キョートグラフィーはスタッフが基本的にボランティアなので質がばらついているけれども、いくつかの会場では楽しいスタッフにめぐりあえて運が良かった。

最後、リンデンバウムでチョコレートクッキーを購入。おばあさまの接客がなんとも素晴らしく、それだけで店に行く価値がある。

ムジカジャポニカ石橋英子bikkeのツーマン。

ムジカではマスクに加えて手製のフェイスシールドを着けさせられる。おそらく意味はないのだが、店の決まりごとだからきちんと従う。

石橋英子のライブはピアノ、フルート、ボーカル、エフェクタを使ってのもの。あっという間に独特の空気感で包み込まれる。この体験はライブならではのもので、これは何度も足を運ばねばと思う。

終演後、懸案だった「The Dream My Bones Dream」のLPを購入しサインもいただいた。うれしすぎて挙動不審になったまではよかったが、手が震えて店を出た瞬間にレコードを落とし角が潰れるという惨事。まあいつもどおりですけど。

Flake recordsでVIDEOTAPEMUSICの受け取り。

ほかに衝動買い的にFENNE LILY「BREACH」のレコードを買ったが、吉と出るか凶と出るか。知らないアーティストを買うっていう行為がだんだん減ってきた自覚があり、もちろん金銭的な理由もあるけど、同じものばかり聴いてる人間になりたくないから、たまには無理をしたい。

まだ疲れてる。まあその分楽しかったってことだな。

仕事のあと、excubeへ行きグループ展「愛shit night 」を見る。時吉あきなさん目当てではあるが、結局ほかの作家たちも面白いのがここのグループ展。そこがいい。

店長の話を聞くとなかなか突発的な進め方で、細かいことはその場で考えているようなところがあり、だからこその面白さなんだろうと思う。

excubeならではの作家はどれも面白いが、MEMENTOさんのマグカップと時吉あきなさんのzineなどを買った。

ホテルには大浴場というのがあるようなので朝から出かける。幸いほぼ貸切状態。露天風呂もあって、といってもビルの谷間に申し訳程度に空が見えるだけのものだが、それでも開放的で気持ちいい。GOTOで格安になるからこその贅沢で、ありがたいかぎり。

そしてモーニングは前日の徘徊から物色しつつ、ドンピシャとまではいかないがアベニューという店に目星をつけて行ってみた。繁盛しているし、姫路名物らしいアーモンドトーストもある。ラッキーなことに窓際の席に座れたしで言うことなし。サービス券が集まるほど何度も行くのは無理だろうが、もう一度機会があるといいな。

前夜に下調べしておいたのでバス乗り場もすんなり。そこそこ乗っていた乗客はだんだん少なくなり、北条へと向かう。二度と見そうにない車窓の風景は何の変哲もない地方の風景で、でもやはりここにしかない風景だ。

と呑気に構えていたのに、どうってことのない曲がり角で事故は起きた。

変なところで減速し加速したかと思ったら、やけに柱に近づき、運転手のああーっという小さな叫び声とともに横っ腹がぶつかって停まった。バスには何千回も乗ってるが、事故にあったのは初めてだ。やれやれという気持ちよりもうれしい気持ちの方がずっと強い。こんなレアな体験は望んでもできない。

運転手はすぐにバスを停めて乗客に向かって事故を起こしてしまいましたすみませんすぐ本部に連絡し指示を仰ぎますしばらく停車しますと謝罪した。乗ってるのは4人ほどだったが全員暇そうで、特に文句も出ない。ただ一人だけ中年男がああしたらこうしたらとやたら出しゃばる。何なんだと思っていたら、たまたま乗り合わせたバス会社社員らしい。30分ほど待った結果、現場検証があるのでバスト運転手はその場に残り、乗客は手配されて来た別のバスに移ることになった。4人ならワゴンくらいでも十分なんだが、いちおう決まりなのかバスが来た。まあこのあとバス停をまわるからかな。もともとはローカル線にふさわしい旧型だったのに最新型にアップグレードされたのには笑った。気を使うもんだなあ。後遺症対策なのか、車中で連絡先を聞かれた。おじいさんは自分の番号がわからないようだったので、僕の番号にかけてもらって対応。我ながらいいお客さんだな。

北条町に到着。けっこうな金額になるはずのバス代は無料にしてくれた。楽しかったうえに無料はありがたいな。

で、目的地Tobira Recordsへ。元生命保険会社のビルの2階がまるごとお店になっている。田舎町にはだいたいこういう保険会社向けに建てられたビルが残ってて、たいてい持て余されているもんだが、ここはうまく活用できているようだ。

入ると広々として風が吹き抜けてなんとも気持ちいい。こういう店は財布が緩む。ゆるむし、緩めたい。ここで買わなきゃなんとする。

店主のhakobuneさんとやりとりしつつ、いろいろ買い漁る。試聴させてもらったものたのになかなかそっちに食指が動かなくて申し訳なかったが、結果的にもジャケ買い直感買いがうまくいったので、やっぱりこういうのがいいのかも。なお、気になってた営業時間は、hakobuneさんが朝型のためとのことでした。なるほど。ほかにも面白い話をいくつか聞かせてもらい、中古と新譜で15,000円ほど。いい感じかな。これ以上買うと重いし。

また来たいけど車のない身には難しそうな立地、でも来たいなあ。いい店です。

残り時間はもちろん北条町散策。お昼にもさしかかっているが、そうお店は多くないし、チェーン店は外したいし。入ったのは、はりまのちっちゃな台所という蕎麦屋。タイミングが悪かったのか手際が悪いのか、かなり待たされた。カウンターで延々待たされるのは残念。ただし蕎麦はおいしい。これはよかった。天ぷらは残念。妻の天ぷらと変わりないというか負けてるかもしれない。ほかにもいろいろあるようだが、蕎麦だけ食べるのがいいかもしれない。それにしても待ったなあ。

あとはまた散策。広々とした酒見寺、境内を共有する住吉神社、入場料がかかるので塀の外からチラ見した五百羅漢、なによりいいのが古い街道筋。いいねえ。

なんせ暑いので限界はあるが、そうそう来れるとこでもないので歩き回った。途中便意を催し、コープさんのトイレを借りた。

時間を見て北条鉄道の駅へ。グッズを置いてたのでガチャガチャをやって、かさいのかさいさんというキャラクターのキーホルダーをゲット。

乗客は地元民が少しと鉄道関連っぽい中年というか老人たち。正直この鉄道関連が苦手なのだが、まあ僕も電車の写真などは撮ったので大差はないのかもしれないが、でも苦手。あと、運転士さんが超美人でびっくりした。

終着駅は粟生。本来はここで神戸電鉄かJRに乗り換えるのだが、それではつまらないので一駅歩くことに。一駅といっても1時間近くはかかったりするのだが、だからいいんじゃないか。暑さは少しマシになってきたし、帰路はわずかなのでがんばれる。

というわけで駅前を抜けて橋を渡り、田んぼの中の田舎道を歩く。こんなとこ歩いてる奴はいない。びっくりするぐらい馬鹿げてて楽しい。けっこうあっという間に葉多駅に着いた。これがまたポツンと佇むローカル駅でいい。ほんとに電車が来るのか疑わしいし、1日何人乗り降りするのかわからない駅。ここでぼーっと電車を待つ。目の前には田んぼ、そして野焼きの煙。

神戸電鉄湊川まで。もう暮れてきたので車窓風景はないし、湊川もだいたい店は閉まってる。ぎりぎり開いてる人工衛星饅頭を買って、あとは普通に帰宅。

人工衛星饅頭をトースターで温めて妻と食べた。